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先輩経営者に学び、ひたすら勉強の日々
現会長の小岩井さんが社長ではなかったら、安並さんは井関産業に入社していなかったことだろう。
卒業後、銀行に勤めたが、三年後何か肌に合わないものを感じ始めていた。ちょうどそんな時に、営業でこないかと誘われたのが、井関産業だった。誘われるまでは、中小企業に就職をしようとは、考えていなかった。名の知れたところに就職をしようと考えていた。いままで銀行というネームバリューのあるところにいたわけだから、それが自然な発想だった。でも、入社を決意させたのは、小岩井さんの存在だった。体が大きく迫力があるが、温かみがある。聞いているうちに徐々に引き込まれていった。「大手では社員一人一人は歯車かもしれないが、中小企業では一人がいろいろな体験をしていくことができる。自分の力で得た成果は自分に確実に戻ってくる」。その言葉にひかれて、やってみようと決意した。
入ってみると、とまどうことは多かった。今まで銀行で扱ってきた数字と桁が違う。こんな安いものを売って儲けがでるのだろうかと不思議になった。しかし、小岩井さんの話した通りだった。仕入れ先や取引先との協力関係ができて、初めて仕事が成り立つ。そこに、感謝と信頼が生まれてくる。「仕事の喜び」を知った。
井関産業は、MSC事業部とセールスプロモーション部に分かれる。MSC事業部は井関産業が元から手がけていた分野。金属容器の商社だ。十八缶・ドラム缶・ペール缶・各種一般缶などを扱う。セールスプロモーション部は「プレミアム」「景品」と呼ばれている販促グッズを扱っている。缶製の貯金箱を販促グッズとして販売したことがきっかけで、その材料を変え発展をしていった。お得意先は、五百社を超え、その賞品は何千種にもなる。社員一人一人の扱う金額も大きく、任されている内容は大きい。
安並さんは、その後、小岩井さんの長女と結婚。昨年の六月から社長に就任をした。営業と社長業では考え方が違う。営業はいけいけどんどんのところがあるが、社長は大きいリスクを回避するのも役目のひとつだ。時には、進行している仕事を止めなければいけない。今は、先輩経営者をひたすらまねて学んで勉強の日々だ。
井関産業の他に、飲食店二店も経営。和食中心の人形町の店と、深川めしの門前仲町の店だ。昨年十二月にリニューアルオープンをし、力を入れている。二月には、同友会の仲間で利用が決まっているそうだ。また、新しい出会いが生まれるかもしれない。
(写真・文 高橋忍)
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