*詳しい情報は中小企業家しんぶん5月5日号または同友会景況調査報告(DOR)70号をご覧ください。
立教大学教授 菊地 進(中同協企業環境研究センター)
2001年末をボトムに回復過程をたどってきた中小企業景況は、原材料仕入れ値の急激な上昇を契機に2004年半ばよりはっきりと後退傾向を見せてきた。この間、景気回復を牽引してきた製造業の後退によるもので、変調がいち早く中小企業において現れてきたことが特徴的である。2004年7−9月期には後退の動きが確認されており、単なる踊り場というよりも急速な減速となっている。民需停滞に加え、販売単価の低下傾向が依然続いており、そうした中で原材料仕入れ値の上昇に見舞われたわけであるから、利益圧迫による業況感の後退はある意味では当然の帰結と思われる。これに3〜4年の短期循環の後退期に重なったのが今回の緩やかな後退局面である。1987年、2000年当時の急激な後退とは異なるが、回復への力の乏しい展開がなお続くことになる。

2005年1−3月期の経営上の問題点の第1位は、「同業者間の価格競争の激化」で、この項目が選択肢に組み入れられた2001年の調査以来、継続して問題点の第1位に位置している。図2は、経営上の問題点について、同友会景況調査の全国の結果と東京の結果を比較したものである。東京も全国も、「同業者間の価格競争の激化」についてはほぼ同様に厳しい状況にあることが分かる。他方、東京は、全国に比べ需要は一定存在するものの、価格引下げ圧力が全国よりさらに強いことが特徴的である。それは、東京DORの問題点の第2位が、「民需停滞」でなく、「販売先からの値下げ要請」となっていることからもわかる。こうして、東京では、価格引下げ圧力が強いことにより利益は出づらいが、需要が一定程度見込まれることから、全国平均より従業員の不足、熟練技術者の確保難がより大きな問題となっている。