経営者Q&A

転ばぬ先の杖「遺言」を活用しよう(2009年1月)

 事業承継(昨年10月より施行された法律では"経営の承継"と言っておりますが、ここではあえて"事業承継"と言います)の問題がいろいろと取り上げられています。ここでは事業承継上最も基本的な問題と言える、事業用資産や自社株をどうやって次の代へ引き継いで行くかを考えたいと思います。


【Q】遺言の制度を簡単に説明して下さい。

【A】まず、法定相続分、遺言、遺留分について確認しておきます。民法では親の生涯に子供達がどのように貢献したかに関係なく、法定相続分が定められていることは誰でも知っていると思います。
 しかしこれでは不満が出る場合もあります。そこで親が法定相続分を無視して自分が公平と考えた、各子供達などの相続分を遺言という形で遺します。これは法定相続分に優先します。しかしその内容があまりにも片寄った、特定の一人とかにえこ贔屓的な内容であったりすると、紛争の種になります。
 そこでこのような行き過ぎた遺言を現実的な状態に引き戻すための方法として"遺留分"という制度が用意されています。
 これはどんな遺言がされていても、その遺言からはずれた子供達に最低限ここまでは相続できる、という内容です。これを実現するためにはいろいろな問題がありますがここでは省略します。遺言者の兄弟姉妹にはこの権利は認められていません。


【Q】遺言がなかった場合、どんな不都合が生じますか。

【A】例えば親の名義の土地や建物を他人に貸している場合を考えてみます。その不動産はほとんど借金の担保に供されているでしょう(理想的には無借金経営が望ましいのは言うまでもありません)。
 その状態で相続が発生したとします(遺言が無い前提です)。貸し手である金融機関は早く相続手続きをして名義を相続人の誰かに変更するよう求めてきます。これはしごく当然のことです。何故なら名義が故人のままでは、その法人に何らかの事故があっても金融機関としては担保に取っていても、何も手を出せません。無論追加の融資も難しくなるでしょう。


【Q】他にはどんな問題がありますか。

【A】自社株があります。通常自社株は後継者がその大半(少なくとも51%以上)を取得するのが理想です。どこの中小企業もそうしてきていると思います。ただ事前に贈与するにしても優良企業であればある程、株価は高くなり、そう簡単には贈与できません。


【Q】そのような問題を解決するにはどうすればいいですか。

【A】ズバリ、遺言するしかありません。遺言の力はとりあえず絶対的です。公正証書遺言を前提とします。そうすると、相続人が何人いようと実印も印鑑証明も、更には署名や承諾も不要です。遺留分の問題は後日話し合いで、金銭で解決すればいいのです。
 つまり親としては、全財産の遺言はしなくてもいいですが、少なくとも事業用資産や自社株については、後継者をキチンと決めて、話し合いの上で、遺言をしておくべきです。
 遺言にはずれた遺産については分割協議によりその取り分を決めればいいのです。


【Q】遺言がなかったことにより問題となったケースがありますか。

【A】あります。故人の土地を法人に貸していた。当然担保に入っています。そこで相続が発生し戸籍謄本を取ったら被相続人が再婚していて、先妻との間に子供が3人いました。当然後妻との間の子供達のみと話をすすめていたので、先妻との子供達からそう簡単にはハンコはもらえません。
 銀行からは当然催促が入ります。同じ両親の子供達同士でもいろいろともめるのに、異母兄弟では尚更です。
 普段から遺言にもっと関心をもち、適切な対処をしておかないと、事業承継に思わぬ難題が生じることになります。



三浦 繁(北支部)
税理士法人アプト会計事務所
税理士・遺言成年後見アドバイザー
TEL.03‐3903‐7501

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