経営者Q&A

従業員が急に独立し、 競業会社をやり始めたときの対応(2016年10月)

【Q】うちの会社の従業員が急に独立をして同業の新会社を立ち上げました。しかも、その独立した元従業員はこっそりと顧客先に対して勧誘やお願いをして、自分が代表取締役を つとめる新会社に顧客先の一部をもっていったため、売上が減少してしまったのです。とても腹立たしい気持ちでいっぱいですが、このように元従業員が競業してきた場合はどのような対 処ができるのでしょうか。

 会社としては、競業を行う元従業員に対して、損害賠償請求したいところです。このためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
 まず、元従業員の競業避止義務の根拠の有無を確認します。競業避止義務とは、従業員または退職した元従業員が、競業会社や個人事業を営んだり、競業会社等に雇われたりすること
を控える義務です。
 退職した従業員がこの義務を負うのは、就業規則の規定や誓約書等の個別合意といった明示の根拠があるときに限られます。
 次に、競業避止義務規定等の有効性を検討します。規定や合意があるだけでなく、合理性がないといけません。①守るべき企業の利益があるかどうか、②従業員の地位、③地域的な限定があるか、④競業避止義務の存続期間、⑤禁止される行為の範囲に必要な制限がかけられているか、⑥代償措置が講じられているか、といった点から総合的に判断されます。
 競業避止義務は就業規則等に定められていても無効とされてしまうことがあります。ポイントは、競業を禁止する範囲を小さくしたほうが、有効と認められやすいということです。たとえば「元従業員が担当したエリアにおいて元の顧客に対して同業の営業活動を行うことを6か月間禁止する」というような内容であれば、地域、存続期間、禁止行為の範囲が比較的制限されていますので、有効と認められやすくなります。
 反対に、「従業員は、退職後3年間、会社と競業する事業を行っている他社に就職し、または競業を自ら営んではならない」といった内容ですと、禁止される競業の範囲が広いため、無効とされがちです。また、元従業員に対する経済的補填として代償措置があるほうが、有効と認められやすくなります。貴社の規定はどうなっているでしょうか?
 なお、競業避止義務が有効と認められなくても、顧客の奪取行為自体の違法性が高いときなどは、損害賠償請求することができるケースがあります。
 競業避止義務が有効であれば、元従業員に対して損害賠償請求することができます。いくらを請求できるかは、一定期間の粗利相当額とされるケースもあれば、より減額されるケースもあります。個別事情に応じた検討になります。
 なお、損害賠償請求とは別に、退職金を( 一部)不支給にすることが可能なケースや、差止請求できるケースもありますので、周りの専門家に相談して、対応を検討してみてください。
 

田辺 敏晃(千代田支部)

川合晋太郎法律事務所
弁護士

TEL.03-3511-5801
E-mail : tanabe@cc-legallaw.com

 

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