東京中小企業家同友会の政策・提言

2000年度東京都中小企業関係予算への政策提言と要望

 私ども東京中小企業家同友会(会員数2100人〔企業経営者〕、平均規模・約30名〔従業員数〕・約1500万円〔資本金〕)は、昭和32年設立以来、自助努力による経営の安定・発展と、中小企業をとりまく経営環境を是正することに努めてまいりました。その一環として毎年、東京都の政策への要望を東京都及び都議会各党にお伝えし、対話を積み重ねて参りました。
 東京の中小企業は、最悪期は脱したと言われながら依然極めて厳しい局面に立たされています。秋から再び下降局面に入るとの観測もあり、また再び倒産・廃業等が広範囲で起きる可能性があります。地域経済の衰退、都民生活と雇用への打撃が心配される極めて由々しい事態に直面するかもしれません。
 このような事態を打開するため私たちは昨年、不況を脱出するための緊急政策プログラムを提案しました。大企業が世界最適調達方針を打ち出し、雇用や購買発注に責任を取らなくなった現在、雇用と市場に直接責任を持つ中小企業・零細企業への政策的支援は21世紀の新しい経済社会のあり方を示す積極的な政策として位置づけられると考えたからです。今年、労働経済局に産業政策室が設けられ、これまで以上に積極的な政策スタンスを持っていることがうかがわれ、心強い思いです。東京の中小企業が元気になることが、都民生活の健全性と雇用を維持することにつながり、経済政策の基本であるとの考え方を共有できるものと期待しております。その考え方の一端を下記に箇条書き致しましたのでご参照頂ければ幸いです。
 この秋は、「中小企業国会」が開催され、中小企業基本法改正を始めとした中小企業政策の大幅な転換がはかられます。これを機会に私たちは、21世紀の中小企業像を踏まえた意見表明と政策提言を致したいと考えています。
 以上の認識に基づいてチャレンジ・プロジェクト提言と政策要望を提出致します。関係各位のご協力、ご支援と共同の行動を心から切望致します。


[われわれの政策の考え方](骨子)

  1. 21世紀の新しい経済成長のモデルと理念は中小企業がつくる
     →創造性と革新的展開力をもった中小企業が主役
     →中小企業の発展性と問題性をつねに自覚した政策スタンスが求められる。
  2. 中小企業は地域に職をつくり、富を生み出し、活力を引き出す
  3. 21世紀の東京・日本を担う「東京人」を育てる拠点が中小企業
     →構想力と人間力を兼ね備えた人材の育成
  4. 東京都の今回の「政策版リナックス」の呼びかけに応えて、積極的に政策
     提言を展開する同友会⇒政策・施策の実施の受け皿としての同友会へ 



同友会政策提言【チャレンジ・プロジェクトNo.1】

タイトル「売掛債権の担保化による資金調達」


▽ プロジェクトの目的


  1. 大企業の印紙税節約などを目的とした手形の廃止=期日指定現金払い等の普及による取引条件の不利(従来の手形割引による現金化ができない)を解消するため。
  2. 物的担保主義の弊害を緩和し、資金調達の多様化をはかる。

▽プロジェクトの概要

  1. 官公庁や上場企業など格付けの高い企業向けの売掛金を担保として金融機関が融資できるシステムをつくる。
  2. 東京都は債権の保証を金融機関に対して行なうため、独自の保証機構を設立するか、信用保証協会が売掛債権の保証をする。
  3. 信用保証協会又は「保証機構」は売掛先企業(官庁)の格付けによって0.3 ~0.5%程度の保証料を徴収し、これを原資として事故に対する補填を行 なう。
  4. 官公庁に関しては、建設業振興基金が行なう下請セーフティネット債務保証を東京都も活用し、拡充に努力すること。

▽プロジェクトの効果

  1. 期日指定一括払いなどの普及により中小企業の資金繰りはますますタイトになっており不必要な事故を未然に防ぐうえで、大きな効果を発揮する。
  2. 米国や豪州では売掛債権を担保として認めており物的担保主義を崩すきっかけとなる。


同友会政策提言 【チャレンジ・プロジェクトNo.2】

タイトル「社会人インターンシップ制度の創設」



▽プロジェクトの目的


  1. 高い水準にある東京の失業者の増加と失業期間の長期化を少しでも解消するため。
  2. 大手企業のリストラは、中小企業にとっては有能な人材獲得のチャンスでもあり、雇用のミスマッチを解決する有力な手段となる。
  3. 人の能力や適性は、採用後でなければわかりずらく、採用をためらう中小企業の重荷を減らし、採用される側にとっても選択の幅が広がる。


▽ プロジェクトの概要

  1. 国に働きかけて雇用保険法を改正し、失業中の人が試験的に雇用された場合(3ヶ月~6ヶ月程度)は失業保険の支給が「休止」され、本採用にならなかった場合でも引き続き次月より保険給付が再開されるようにする。
  2. 当面、雇用保険事業団が行なっている委託訓練制度(45歳以上の雇用保険受給者を教育実習した場合、賃金の支払いの必要がなく、委託訓練費用が企業へ給付される)を拡充し、東京都独自で45歳以下についても委託訓練ができるようにする。


▽プロジェクトの効果

  1. 今後予想される大企業のリストラによる大量失業をソフトライディングさせる効果はおおきい。
  2. 中小企業が有為な人材を確保でき、人と企業の有効なマッチングを支える社会システムになる可能性があり、中小企業対策と雇用対策の両面から効果を期待できる。


同友会政策提言【チャレンジ・プロジェクトNo.3】

タイトル「中小企業プレゼンテーション作戦in都庁」


▽ プロジェクトの目的

  1. 中小企業・ベンチャー企業の新製品などの発表の常設の場をつくることで展示会等に参加しないでも情報発信の効果をあげられるようにする。
  2. 情報発信力やPR力の中小企業をパブリシティ面から支援する。


▽プロジェクトの概要

  1. 都庁の1階フロアー(部屋)に常設の中小企業・ベンチャー専門のプレゼンテーションや記者発表を行なう場を設ける。
  2. MXテレビ又は衛星放送に独自のチャンネル、番組を確保し、申請と一定の審査を経て中小企業が自社製品やサービスをPRできるようにする。
  3. 上記参加の企業をデータベース化し、映像データとしての活用やインターネット上での交流に活かす。


▽プロジェクトの効果

  1. 革新的な製品やサービスを中小企業が開発しても宣伝力が弱いため十分な効果を上げることができないことが多いが、都庁を舞台に東京都がリーダーシップを発揮した作戦を組む効果は高い。


同友会政策提言【チャレンジ・プロジェクトNo.4】

タイトル「金融アセスメント条例の制定」


▽ プロジェクトの目的

  1. 東京経済にとって良い金融機関を育成し、地域経済の発展と住み良い地域環境の実現を促す。
  2. 米国の地域再投資法を参考にした日本版の法律制定をめざす。

○プロジェクトの概要


対象金融機関の活動がその営業地域にどのような影響を与えているか、アセスメント項目を設定し、調査する。その調査結果にもとづいて金融機関の格付けを行ない、発表する。

  1. アセスメント項目の設定と調査内容は下記の通り。
    1. 地域貢献度(資金運用に占める地元比率、資金調達に占める地元比率、自治体の地域開発プロジェクトへの参加、優遇措置の地域や顧客への還元度など)
    2. 中小企業貢献度(地元中小企業への融資比率・但し経営者の居住住宅を担保にした貸出や第三者連帯保証を必要とする貸出を除く、小規模企業への差別的行為の有無、起業への支援活動など)
    3. 資金供給安定度(融資額や融資条件の一方的変更の有無、既存利用者の利便性を著しく害する営業店、出張所の移転・廃止の有無など)
    4. 取引公正度(説明義務を怠るなどの理由で利用者に損害を与えた事例の有無、その適正な事後処理の有無など)
  2. 上記チェック項目それぞれについて、優秀、良好、改善必要などの形で、各金融機関に対し格付けを行ない、公表する。
  3. 改善必要の場合は、金融監督庁に改善指導を促す。それでも改善がみられない場合は、制度融資の取り扱い金融機関からはずすなど東京都の権限の範囲で指導・制裁の措置をとる。

○ プロジェクトの効果

  1. 金融ビックバンの予測される弊害(地域内資金循環の後退など)を緩和し、地域経済の安定性と健全性を保持する効果を持つ。
  2. 法律により公的使命のある金融機関に対し、都民の金融資産を守り、適切な判断を促すための情報提供は東京都の今後の重要な仕事である。


【2000年度東京都予算に関する要望と提言】



1・都市型公共事業の推進で東京から不況脱出をはかること。

  1. バリアフリー社会(物理的障害及び精神的障害を排除した構造、仕様、設備を有する社会)づくりと住宅のバリアフリー化を地域の中小企業が参加して進めること。
    1. 「福祉のまちづくり条例」に基づき、障害や段差のない高齢者・障害者が安心して行動できるバリアフリーのまちづくりを地域の実情に詳しく、身近な関心と責任のもてる地元中小企業の事業確保につながるよう進めること。
    2. 福祉借り上げ住宅の建設の倍加と木賃アパートの建て替え促進による居住継続支援をさらに強めること。シルバーピア住宅建設の大幅促進と中小JV方式を進めること。
    3. 高齢者等住宅改修事業の推進と江戸川区のような住宅改修への助成制度を区市町村と連携して設けること。
    4. 在宅健康管理システムの開発すすめること。また、介護保健の適用も見据え、地域の高齢者への福祉・医療面からの体制・施設整備に努めること。
  2. 「東京大震災」に備えた防災対策事業を中小企業の参加で強力に進めること。
    1. 既存建築物の耐震診断を区だけでなく、東京都としても専門家を公募し、大規模に診断を実施すること。
    2. 防災向けの耐震防災住宅の建設や地下利用緩和を機に簡易地下室「地震シェルター」の建設の研究と普及・支援をすすめること。
    3. 都市防災不燃化事業の対象地域の拡大と個々の住宅の防災不燃化の推進。
  3. 防災上や都市の美観からも問題である電柱を地中化する事業を積極的に進められたい事業所・住宅での雨水利用システムや太陽エネルギー等の利用への補助の拡大し、省エネ省資源住宅・施設の普及による需要喚起策を強力に進めること。

2・公共工事の中小企業への重点配分を推進すること。

  1. 官公需の中小企業への発注率を大幅に拡大すること。当面、60%以上にすること。 特に都営住宅、学校・保育所、などの改修及び耐震補強工事など都民生活に密着した 中小企業向けの小さな工事を増やすこと。
  2. 最低制限価格制度を堅持し、予定価格の90%まで引き上げること。前渡金の40%支  払出来高払いの中間金、竣工検査後の支払いの迅速化、など支払いの改善をはかること。また、年間工事発注の平準化に努め、集中工事の回避をはかること。

3・東京都のすすめる環境保全型都市づくりへ多くの中小企業が参加・協力できるように条件を 整えること。中小企業の環境ビジネスへの参入やエコ商品の開発への支援をすすめること。また、ISO14000 など環境管理システムに対する中小企業への支援。さらに、資源リサイクルのために中小企業が取り組む共同回収事業への支援を企画されたい。




4・東京都の直接保証枠の創設を検討すること。

  1. 安定化特別保証枠のような別枠で東京都独自の特別保証制度を創設すること。
  2. 制度融資をより身近なものとするため、区への移管を検討すること。


5・制度融資等の拡充と新たな信用創造能力の形成を進めること。

  1. 貸し渋り対策大綱等にもとづく東京信用保証協会への指導の強化と中小企業への資金供給 の円滑化。
  2. 担保主義を見直し、知的所有権を担保とするなど、中小企業の技術やアイディアを評価するシステムと融資制度を検討すること。信用保証協会が、経営者の能力や企業の潜在能力 などから評価を重視するように指導を強めること。
  3. 保証付融資を利用する場合、保証料を払った上に連帯保証人が必要とされるのは、本 来の信用保証理念の趣旨にそぐわないものであり、無保証人融資をふやすこと。少なくとも、第三者の連帯保証人を求めるのは止めること。

6・中小企業の資金調達の多様化のためのシステムづくり

  1. 中小企業が個人投資家などから直接資金を調達できる機会と場づくりを企画すること。
    ベンチャー企業のみならず既存中小企業も経営力や技術力が適正に評価され、多様な資金 調達が可能になるように行政のバックアップ機能を検討されたい。
  2. 社会的意義のある事業を志す市民・団体や起業家に資金・ノウハウを提供する民間事  業や、地域中小企業が投資育成会社をつくって資金不足を補完したり、新事業を起こしたりする事業に対し、東京都が資金等でバックアップするシステムを検討されたい

7・中小企業のマーケティング力への支援

  1. 「作っても売れない」ことの多い中小企業とってネックとなっているマーケティング 力へ の支援を強めること。マーケティングのスペシャリストを派遣し、給与の一定部分を援助するなど人材面からの支援をすること。大学のマーケティング学科や研究会などの学生を中小企業に紹介するなどインターンシップの面からの連携をサポートすること。

8・国へ要望してほしいこと

  1. 現行の倒産防止共済制度は制限が多いことと機敏な対応がなされていない。連鎖倒産 防止のための緊急つなぎ融資を中小企業総合事業団に創設すること。
  2. 外形標準課税の導入に反対すること。もしも、東京都が外形標準課税の導入を必要と考えるのであれば、中小企業に対する行政の提供サービスのコストの内訳を明示されたい。
  3. コンピュータの2000年問題で手形の決済などで事故が起きた場合、阪神大震災など のときと同じように、緊急対応を取るように国に要望すること。

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