2007年度東京都中小企業関係予算政策提言

2006年7月12日

東京都知事 石原 慎太郎殿


東京中小企業家同友会
代表理事  湯本 良一
政策部長  水戸部良三
〒170-0005 
東京都豊島区南大塚3-39-14
大塚南ビル2階
電話03-5953-5671 
FAX03-5953-5672






2007年度東京都中小企業関係予算政策提言



[はじめに]

 都内の中小企業の景況は当会の調査でも改善傾向が顕著となり、DI値もようやくプラスに転化しました。しかし、大都市圏以外での景気はいまだ冷え込んだままで、都の調査や信用金庫の調査では、都内中小企業のDI値も改善されているとはいえ水面下を推移しています。
 また、当会の調査では、中小企業の原材料価格の高騰が収まらず、価格に転嫁できない状況がさらに強まっていることが明らかとなっています。景気の先行きが不透明ともいわれている中で、本格的な景気回復が中小企業に定着するかどうか、政策的支援措置が重要な時期となっています。
 日本経済・都内経済のバランスの取れた発展をめざし、東京の産業ビジョンとりわけ中小企業の展望を示していく対策が強化されることが望まれます。
 関係各位のご協力、ご支援を心から切望致します。



東京都2007年度予算要望

今年度新たに要望する事項

(1)中小企業対策予算の大幅拡充を図ること。また、中小企業経営者の団体や学識経験者などで構成する中小企業振興政策審議会をつくり新たな振興ビジョンを策定すること。
 都内中小企業の景況は改善されているとはいえ、いまだ水面下で推移しています。景気の先行きが不透明ともいわれる中で、中小企業への対策が強化されることが望まれます。しかし、この10年間都の一般会計における中小企業対策予算は減り続けています。活力の源である中小企業への対策を抜本的に強化するため、審議会を作り都の経済展望を見据えた振興ビジョンの作成を要望します。

(2)都内の中小企業金融制度を見直しセーフティネットの再構築をはかること。
 政府系金融機関の統廃合、保証料率の弾力化がおこなわれるもとで今後の中小企業金融のセーフティネットが懸念されます。また日銀のゼロ金利の解除などから金利上昇を懸念する声もあります。制度融資や政策的助成制度の充実、信用保証制度の充実、新銀行東京の役割の再検討などをおこなう審議会を創設し抜本的な対応を検討すること。構成に当たっては中小企業団体、信用金庫協会や地域金融機関の代表、学識経験者などを含め作ること。

(3)都内を中心に大企業の採用が急激に増え、中小企業の人材確保が困難になってきています。当面、必要な人材の採用活動に協力をお願いしたい。インターンシップなどへの一層の助成強化など要望します。

(4)都の産業技術研究所の独立行政法人化にともない、検査の利用料金などの値上げはおこなわないよう要望します。また、中小企業が活用しやすいようサービスの向上を図ること。特に産学公連携を進める上で、企業の課題や技術を把握し、研究機関との連携の窓口にもなる可能性を持っていると思われる。この機能の充実を要望します。

(5)「新事業分野開拓事業者認定制度」を活用し、中小企業の新規製品等の購入を検討されたい。

(6)マンション構造計算書偽装問題では民間検査機関に対する監督責任を行政機関も問われます。検査業務を民間任せにすることが適切かどうかも懸念する声もあります。当面民間検査機関や建築士に対する指導監督を強めつつ、営利だけに走り検査を「安くて早くて『手抜き』」にするようなことがないような仕組みを作られたい。また、行政自身が検査できる人材を一定程度養成されたい。
 また、被害者に対する助成を都としても検討するとともに国に対しても、建築業界や、ローンを組んだ金融業界とも連携をとり助成をおこなうよう要望されたい。

(7)オリンピックの誘致は景気対策としても期待する声がある一方で、都財政を懸念する声も上がっています。十分に議論していただきたい。かりに実行される場合は中小企業も参入できるよう計画に配慮されることを要望します。

(8)中小企業の取引の適正化について
 アンケートの結果「不公正な取引があった」と感じている人が20%以上います。なかには「納品後の価格改定(低下)」や、過大な値引き要請、原材料の値上げによる価格上昇を認めないなどの声も出ています。現状では当該企業から下請け取引の問題が訴えられるまで問題にされませんが、企業間関係においてはきわめて困難です。
 また、大企業の子会社による実質的寡占化が進んでいるとの指摘もあります。
 必要な立ち入り調査ができる公正取引委員会の監視体制の強化、独禁法や下請け諸法の運用の強化を要望していただきたい。
 また、建設業も下請け法の対象とすることが望まれていますが、現状の中で都が適正な取引をおこなうよう指導することを要望します。

(9)原材料の高値が続き中小企業の少ない利益を奪っています。昨年度の都の適切な対応に感謝するとともに、ひきつづき中小企業への資材の安定供給と適正価格を維持するための指導と監視を強化するよう要望します。また、昨年度に引き続き必要な融資制度などを要望します。

(10)道路交通法の改正で取締りが強化されました。迷惑駐車が減り、交通がスムーズになってきたことは歓迎しますが、一方で「補助ドライバーが雇えないなら取引しない」など中小企業の取引関係に影響が出ています。危険極まりない箇所での違法駐車以外は、事業での駐車については所轄する警察が地域商店街や中小企業団体と協議し、一定の基準を定め許可を与える仕組みを検討されたい。
 また、地域商店街や中小企業団体と協議し駐車禁止区域を一定時間帯は指定解除することを検討されたい。また、抜本的には駐車場の確保を図っていただくことを要望します。

昨年度から引き続き要望する事項


1、「中小企業憲章」制定し、産業経済政策の柱に中小企業を!

 東京は日本の政治経済の中心であるとともに、28万社を擁する中小企業の街であり、同時に1200万人を包み込む大都市です。
 現在大都市東京は、再開発問題、既存繁華街の「衰退」やビルの空き室、モノづくり機能の後退、治安、都心回帰によるインフラ問題など新しい「都市問題」ともいえる課題を抱えています。こうした新たな課題を打開し、21世紀に新たな市場・産業の創出をすすめ、持続可能な経済発展を遂げるために、短期的対策ではなく長期的な視点にたった新しい産業政策のビジョン・理念の確立が求められます。平成11年に12月に改正された中小企業基本法では「地方公共団体は、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する(第6条)」と規定しています。
 世界的な流れから見ても、21世紀の世界経済の行方は中小企業の動向に大きな期待がかけられています。OECD及びECは2000年にそれぞれ「中小企業憲章」「欧州(中)小企業憲章」を採択し、21世紀の経済発展の要としての中小企業を位置付けています。私たちは、日本経済の本格的再生の第一歩は中小企業と地域経済の活性化なしにはありえないと考えます。

(1) 東京の地域と産業の発展をはかるために、中小企業の振興を東京都の産業政策の最も重要な柱とする理念を確立し、「中小企業振興基本条例」を制定されたい。

(2) 国に対してもこうした視点に立った「中小企業憲章」を制定し、中小企業立国日本の構築を要望していただきたい。

(3) 都内の各区・自治体にも中小企業振興を区の産業政策の中心にすえる条例の制定を推進されたい。すでに条例があるところも、その見直しや推進のための組織や仕組みをつくり、企業活動が活性化するよう奨励していただきたい。また、そのための基礎作業として、中小企業に対する"全数調査"を進めていただきたい。


2、新しい内需を喚起し中小企業を活性化させる施策を

(1)中小企業が地域で取り組んでいる新規事業、事業転換、グループ化、ネットワーク化などの様々な「新しい仕事づくり」を有効な景気回復策として引き続き積極的に支援されたい。

(2)観光、余暇、教育、医療、安全性など人間の活動能力の発展をはかる社会的ニーズや防災対策、環境保全、少子高齢化・福祉、地域づくりなどの社会生活の中から新しい内需を誘発しようとする中小企業を支援する地域産業政策を展開されたい。

(3)公共投資の重点を、環境にやさしく地域を豊かにし、中小企業の知恵と人材が活かせ、地域雇用の増加に結びつく社会基盤整備・社会福祉・環境保全・防災重視の生活整備型・自然再生型の公共投資へ転換をすすめられたい。特に、次のような地域密着型工事を増大し、官公需の中小企業の発注率を60%に引き上げ、従来以上の分離分割発注を守り、地元中小企業への優先発注を進めること。例えば、公共施設・公立学校の耐震補強、施設改修、駅前保育、学童施設の充実、公立学校の空教室・施設を改修し、グループホーム、老人施設、保育所、住民コミュニティセンター、企業支援に転用すること、道路や公共交通など高齢者対策の推進を一層すすめること。また、屋上緑化、雨水利用施設の普及に助成すること、個人住宅の耐震性向上、バリアフリー化、など助成をふくめ推進されたい。

(4)新しい事業のインキュベーターとして空き部屋、空き店舗・空き校舎などの活用を地域住民・地域中小企業の参加も得てすすめる取り組みをおこなうこと。また、そうした新事業分野に展開する企業への助成を検討されたい。

(5)中小企業の知財産権を守るために、海外における模倣品被害を含めた総合的相談センターを作ること。また、国内でも大企業との関係で訴訟問題になった際、その資料作成の手間や公判の維持費などが障害になり「泣き寝入り」の状態が生れています。必要な対策と助成をすること。


3、産学官交流を通じた東京の地域的・広域的ネットワークの確立を

 都内の製造業は高付加価値製品づくりへの転換を一層迫られています。東京には大学、研究機関が集積しており、これらには膨大なシーズが眠っています。これまで産学官の連携は東京では弱く、地域的、広域的なネットワークの確立が今こそ求められます。当会でも現在地域を軸に16の交流事例が生れていますが、こうした産学官交流は中小企業、大学、行政が地域や東京の産業の発展、相互の交流による新たな創造へのチャレンジ、地域と社会に役立つ人材の育成など高い立場で持続的交流をするような理念が求められます。産学官交流は、単に技術移転というイメージよりも、中小企業の経営課題や技術テーマを積極的に持ち込むと共に、大学・研究機関の技術開発力や知恵の集積を開陳してもらうための場作りへの支援という視点で当面次のような支援をすすめられたい。

(1)東京に集積する資源を中小企業がさまざまな形で活用できるシステムが求められています。中小企業と大学・研究機関をつなぐデータベース・ネットワークなど交流・支援インフラの整備に努めていただきたい。また、自然エネルギーや文化的資源など地域の固有資源の産業化・事業化に取り組む中小企業を産官学・金融の連携で支援されたい。

(2)民間の自主的な産官学交流や連携事業に対し、都として「産学官交流推進プロジェクト(仮称)」を立ち上げ、情報収集を行うと共に交流・連携事業に対し、マーケッティング・販路開拓などについてのコーディネイトをはかること。また、プロジェクトに技術や事業に対する評価ができる金融機関の代表を含め、可能性のある事業に対する資金調達の道を拓いていただきたい。

(3)大学の理工系施設や試験研究機関が中小企業向けにレンタルラボ(貸し研究室)やレンタルオフィスを提供できるように施設・システムへの援助を企画すること。また、試験研究機関を中小企業が利用する場合の費用低減や試験研究に関わる所要時間の短縮化をはかるなどより利用しやすいものにしていただきたい。

(4)個別の中小企業が開発したものを発表する「製品説明会」や「研究発表会」の案内・情報発信へのサポート及び大企業や研究機関、大学等への情報発信を東京都の施設・制度を通じて支援されたい。また、海外の国際見本市、専門見本市への中小企業の出展の機会拡大と出展費に対する援助拡充を進められたい。

(5)産官学の交流には中小企業の現場を熟知し、研究内容にも理解を持つ優れたコーディネーターの養成と、企業家と研究者の幅広い交流がカギを握ると思われます。中小企業団体とも協力しこうしたフレームを確立されたい。

(6)ISO取得が中小企業の間でも広がっており、取得企業に対する助成金を引き続き要望すると共にその拡充を行うこと。また、都の助成金を活用した取得企業の異業種交流サロン(情報交換会)の継続実施ならびに既に取得した企業による事例報告会を実施し、未取得企業への啓発をはかられたい。


4、総合的なまちづくりプランの策定を

(1)大都市東京は、再開発問題、既存繁華街の「衰退」、ビルの空き室、空き店舗、モノづくり機能の後退、治安、都心回帰によるインフラ問題など新しい「都市問題」ともいえる課題を抱えています。高層ビルを林立させるだけの「都市再生」ではなく、環境、教育、福祉、交通、安全、治安など大都市東京の歴史や景観、機能を踏まえた、総合的なまちづくりプランを推進していただきたい。

(2)凶悪犯罪はいまだ減少の方向には向かっているといえません、ひきつづき都民が安心して暮らせるよう都内の治安対策の抜本的強化をすすめること。とくに、世界都市としての東京という視点から、ニューヨークなどの事例にも学び、住民参加の取り組みや犯罪の予兆の段階で撲滅していく取り組みなど、努力をお願いしたい。

(3)財政の悪化の中で「首都機能移転」については膨大な無駄遣いといえるが、これまでに移転費用やその他関連費用を拠出している地方自治体にも配慮し、首都機能移転については「10年間の論議凍結」を改めて表明し、国に強く要望されたい。

(4)防災上また都市の美観からも問題である電柱の地中化事業(新電線地中化計画)の拡充強化をひきつづきはかること。道路の幅などが狭いところでもすすめていただきたい。

(5)ヒートアイランド現象など環境問題の一層の改善が求められています。屋上緑化や熱を出さない規制や建築技術、環境にやさしい技術の開発と積極的採用・振興で、自動販売機、自動車の総量を抑えるなどの規制も焦点に入れ、環境先進自治体となるように取り組みをすすめていただきたい。


5、中小企業の金融環境の安定と新たな金融システムの創造に向けて

(1)中小企業の有利子負債は約13年といわれています。中小企業が利用しやすい商品として10年以上の「長期中小企業ローン」の開発を検討されたい。こうした利用資金が提供されれば中小企業の資金繰りは円滑になると考えます。こうした制度が困難であるとするならば、企業が「営業利益」をあげていることを条件に繰り返し融資をしていただけるような制度を開発していただきたい。

(2)新銀行を中小企業にとって利用しやすいものにすること。新銀行ならではの新たな商品の開発とサービスの拡充に努力すること。

(3)個人保証問題について、国でも倒産法制の改正がおこなわれました。この間ある程度の改善はされたものの、より一層の改善をすすめられたい。
・中小企業が倒産した場合、個人の最低限の財産保証をアメリカ並みにすすめ経営者が再起し再挑戦できる条件を法的に整備するため、個人保証の有限責任化を進めること。例えば、倒産後の担保処理後の残債を削除するなどの法的対応をはかること。

(4)都や各行政区の融資制度(利子補給等)や助成制度の改訂にあたっては、中小企業を活性化させる方向で取り組むとともに、中小企業経営者を含めた諮問会議を開催されたい(中小企業家同友会は参加する用意がある)。

(5)円滑な資金需給や利用者利便などの視点から金融機関の活動を評価・公開する金融アセスメント制度、「地域と中小企業の金融環境を活性化させる法律案」(仮称)を法制化することを国に要望されたい。また、2004年度から金融庁の中小・地域金融機関の監督指針に「地域貢献」等が新たな評価項目として盛り込まれましたが、地域経済と地域の産業雇用に責任を持つ立場から、都でもこの点を考慮し地域金融機関の評価する基準と評価制度、その公表に積極的に取り組まれたい。


6、東京信用保証協会の信用補完機能強化を

(1) 信用保証協会の保証枠を拡大していただきたい。景気回復に伴い新たな設備投資や取り組みを進めるに必要な資金需要が予想されます。ぜひこうした変化に見合った体制づくりに努められたい。
 具体的メニューでは、長期のローンの開発をすすめていただきたい。保証料などリスクに見合ったメニューを検討するなら、少ない返済金額になるので中小企業が利用しやすいものとなります。
 また、一定金額までの保証に関しては個人保証を無くしていただきたい。

(2) 保証協会の本来の趣旨は、担保力に乏しい中小企業金融の円滑化をはかり、中小企業を健全に育成するという信用補完機能にあり、金融環境は一定程度改善されつつあるものの、格差も広がっており困難な企業にとっては保証協会の与信供与機能が生死を決するといって過言ではありません。人的・物的担保優先主義から事業性の評価を中心とする保証条件の緩和を一層すすめられたい。

(3) 「部分保証」の導入に当たっては、中小企業への貸付枠を減らされないように配慮して進められたい。会としては「全部保証」の継続を要望しますが、「部分保証」導入の場合も、事故率が一定数値を超えた金融機関に関して部分保証を行うよう検討されたい。

(4)信用保証協会はその本来の趣旨にそった協会の支社・窓口の職員の教育に努められたい。新しい制度融資などで徹底が遅れていたり、審査に時間がかかったりしている事例が見受けられます。保証協会は中小企業の立場にたち、親身でスピーディな対応をお願いしたい。

(5)代表権がはずれた場合の保証債務について、新たな代表者にその保証債務を移行できるよう見直しをすすめられたい。

(6)東京信用保証協会の運営については地域金融機関の比重を高めること。また、理事のなかに、利用者代表として中小企業の経営者もしくは中小企業団体から参加できるようにしていただきたい。


7、中小企業の経済活性化と事業承継の円滑化を進める税制を


(1)中小企業の事業承継について
 2003年度の税制改正において、生前贈与の円滑化に資するため相続税・贈与税の一体化の措置を導入、あわせて、相続税の最高税率の引き下げを含む税率構造の見直しがなされました。この相続税・贈与税の一体化の措置は中小企業の事業承継を円滑に行う上で有効なものと考えられます。しかし、受贈者が財産を費消してしまっている場合相続に納税上問題が起こる可能性もあり、基礎控除の大幅増額と税率構造の見直しなどによる対応が望まれます。
 また、2003年6月の政府税調答申「少子高齢社会における税制のあり方」では、今後の検討課題として「高齢者を取り巻く状況を見ると、近年、現役世代の負担を伴う社会保障給付が充実し、個々人が主に家族で老後扶養の負担を担う形態から、より社会全体で老後扶養の負担を支えるようになってきている」とし、「従来より広い範囲に適切な税負担を求めるねらいから、課税ベースの拡大に引き続き取り組む必要がある」としています。富の再分配機能のためにはこれ以上課税ベースを拡大すべきではなく、累進税率を引き下げることによる税収減は、課税最低限を下げ課税ベースを拡大することによる増収でカバーすることはとてもできない。社会保障給付の削減など社会保障制度が後退している現状のもと、むしろ現行の基礎控除を大幅に引き上げ、一定水準の資産家に限定して課税すべきである。さらにアメリカの1997年度税制改正に習い、わが国においても中小企業の事業承継が円滑に行われ日本経済の健全な発展に寄与出来るよう抜本的な相続税の改革に取り組まれたい。

a、相続税の基礎控除を1億円程度に引き上げること。
 政府税調は中期答申で「平成10年では死亡者100人当たり約5人(5.3%)」が対象になっているといっていますが、高度成長によって地価が騰貴する前の昭和30年代は100件の相続事例のうち相続税の対象になるのはわずか1件(課税対象割合1%)。その後、地価高騰により相続税の対象となる割合が著しく増大している。富の再分配を必要とする一部の資産家に対する税である相続税を本来の姿に戻すためにも基礎控除を1億円程度に大幅に引き上げられたい。

b、事業用資産については、事業を承継するという条件の下で事業承継猶予制度を設けて10年以上事業を承継した場合一定額を免除されたい。
 事業承継は、事業自体の存続を前提にするから取引価額で資産を評価すること自体が問題である。事業用資産については、事業を継承するという条件の下で以下のような事業承継猶予制度を設けていただきたい。
・事業用資産については通常の評価額とは別に「事業承継価額」で評価する。
・事業承継者は事業用資産を「事業承継評価額」で評価した税額を納付し、通常の評価額で評価した場合の税額との差額は猶予される。
・10年以内に事業を廃止した場合は当該差額を納付する。
・10年以上事業を承継した場合には当該差額を免除する。
 上記中期答申では、農地に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例は、農業政策の視点から、法律上、その利用・転用・譲渡が厳格に制限されていることなどから認められているとしているが、中小企業の事業承継にもこのような制度が必要と考えます。なお、アメリカやドイツでは5年~10年の事業継続を条件とした事業承継制度を導入しています。

c、自社株式評価には企業の利益水準をベースにした収益還元方式による評価方法を導入すること。
 株式評価については、自社株式は流通性がなく資金化が困難であることに加えて企業の存続を前提にすると、企業の利益水準に基づいた収益還元方式による評価が適切です。
 当面、純資産価額方式の評価において、土地の評価は上記の「事業承継価額」とすること、また純資産価額がマイナスとなる場合には一定条件のもとで相続財産から相続人が相続により取得する株式に対応するマイナス分を債務として控除すること、「相続した保証債務の履行があり、求償権の行使が不能な場合」相続税の更正請求ができるようにしていただきたい。


(2)地方税制について

a、外形標準課税の導入中止・・・商工団体の反対運動の中で、課税標準を付加価値だけでなく所得割や資本割りとしたり、資本金1億円超の法人に限定し一定の緩和措置をとっていますが、イ)担税力のない赤字法人にも大きな負担を強い、中小企業の7割に達する欠損法人に深刻な問題をもたらす、ロ)報酬給与額などを課税標準とする「賃金課税」であり、企業の人的投資を妨げて雇用抑制する、ハ)規模が小さい法人ほど税負担倍率が大きくなり黒字法人でもほとんどが大増税になる。従って、不況をさらに深刻にし、日本経済の活力削減につながるなど、重大な欠陥がある税制であるので導入を中止すること。まして、対象企業を資本金1億円以下に拡大することは絶対あってはならない。

b、固定資産税・都市計画税は担税能力に応じた方式に・・・固定資産税の地価公示価格に連動した評価は、多くの訴訟や自治体の反対決議に見られるように連年の地価下落の状況にもかかわらず税額が増額するなど非現実的であると考えます。長期不況のなかで産業界からも税負担の重さに軽減の要望が出ています。固定資産税の担税力はその固定資産の活用によってもたらされるものであるから、売買時価を基準とするのではなく収益還元による評価方式に徹底すること。さらに、都市居住・営業が確保されるためには都市計画と結びついた適切な軽減措置をとること。当面、固定資産税の免税点を引き揚げること。また、都市計画財源のために徴収されている都市計画税の存在意義を明確にして適切な都市計画財源として企業の経営環境確保のための都市形成に使用されたい。

c、法人の事業税、都民税及び区市町村民税に損失の繰り戻し還付制度を創設すること。法人税と同様の趣旨による還付制度を設けていただきたい。

(1)償却資産にかかる固定資産税-償却資産にかかる固定資産税の免税点を150万円から300万円に引き上げ、中小企業の設備投資促進を促すよう国へ働きかけること。

(2)償却資産税の申告等について
 納税者の事務負担軽減のほか、行政の効率化、合理化の観点からも、償却資産の申告制度は、国税に係る申告事務と連動させるべきである。
 具体的には、現行の法人および個人事業者の償却資産に係る固定資産税については、賦課期日が一律となっているが、これを国税に係る申告事務と連動させ、法人は事業年度末日(個人事業者は「年末」の翌日)を賦課期日とし、申告期限を同日から3ヶ月以内とすること。

(3)賦課決定の通知時期-個人事業者の納税通知から納付期限までの期間を最低1ヶ月とするよう法改正を働きかけることも含め検討されたい。また新築家屋および新規取得土地に係わる不動産取得税の賦課決定については、遅くともその取得の1年以内にすること。また、新築家屋の固定資産税の評価の決定は、遅くとも新築後1年以内に決定し、納税通知をすること。


8、各種施策の利用促進をはかるための手続きの簡素化、明確な制度説明

 都の各種施策の推進にあたって、中小企業に「知る、知らせる、利用する」ことは重要です。IT環境の整備をさらにすすめ、各種施策の情報収集、各種申請の簡素化や手続きの簡素化・スピードアップ等オンライン化を一層すすめられたい。また、諸施策の明確な制度説明に心がけられたい。


9、公正な市場のルールをつくり、適正な取引を

(1)都は中小企業の受注機会を増大させる立場にたって、透明性の向上と公正な競争の確保に留意し情報提供を勧めること。特に中小企業むけ契約の実績金額、目標金額及び入札件数について発注各部局別、物件・工事・役務別及び官公需適格組合についても情報公開をすすめていただきたい。

(2)都は中小企業の受注機会を増大させる立場にたって、可能な限り分離・分轄発注を行うようにしてください。このために都は効率的な分離・分轄発注を行えるような人材の育成などに努力し、発注能力の向上に努めていただきたい。

(3)受注業者の経営、工事に関する審査を厳正に行いダンピング業者、不良不適格業者を排除すること。その審査基準を公開するとともにその中に、品質・技術の基準、労働条件・下請けに関する基準、地域貢献と環境への配慮などをとりいれていただきたい。

(4)最低制限価格を堅持し、予定価格の90%程度に引き上げるよう努力すること。公共工事の品質を確保し、雇用の確保と技術の向上、中小建設業の倒産を防ぐための「適正価格発注」の閣議決定を遵守するよう徹底されたい。

(5) 技術力のある企業、新規開業事業者に対する入札機会を拡大するため、物品の製造・販売等に係わる入札資格のあり方の検討を進めていただきたい。


9-2、官業の民間への開放

  現状は、開放の基準が明確でなく大手企業にその開放が偏っているように見受けられます。そこで以下の点を要望します。

(1)市場化テストやPFI、指定管理者制度をすすめるに当たっては、地域住民・中小企業の代表も参加し、企業の経営内容と技術力を評価する基準を作成し、公表すること。行政側にも評価できる人材を養成・配置すること。

(2)地元中小企業を優先する原則で行うこと


10、中小企業にすぐれた人材を

(1)中小企業は必死の努力で雇用を維持しています。しかし少し景気がよくなると大企業は青田刈りで優秀な人材を採っていく傾向があります。会としては中小企業の経営革新の努力を呼びかけるとともに、イメージアップに努めていますが、中小企業への優秀な人材を採用できるよう努力されたい。特に学校教育の中で日本経済・社会にはたす中小企業の役割を正確に伝えるとともに、起業家教育もあわせて進めていただきたい。

(2)人材を育てる中小企業へのインターンシップを積極的にすすめるよう、大学や工業高等専門学校、高校への指導を強められたい。その際受け入れ当該中小企業に対してインターンシップに関わる準備等への助成・支援制度を設けていただきたい。同友会としても、地域貢献と人材育成という点から、積極的に推進したい。

(3)新卒者の雇用を促進し、職業・技術教育にもなり、中小企業でのミスマッチを防ぐことにもなる 職業・技術教育目的で一定の年限を区切った雇用制度とそれへの必要な助成を検討されたい。

(4) 職業教育のシステムを充実させ再雇用などに役立つよう一層努力されたい。特に夜間の技術教育などを充実させ、アニメやものづくり、SEなど今後必要な人材の教育に力を入れ、現場の企業の力を活用でき、現場の技術水準の向上にも役立つよう工夫されたい。

(5) 中小企業の後継者対策として、その人材教育に予算化をはかるなど配慮をいただきたい。大学とのコラボレーションなども活用し、実学を教えるビジネス大学(サテライト大学など)を創設していただきたい。次代の地域経済の担い手にふさわしい後継者育成は地域づくりやビジネスにとっても重要な課題と考え要望します。


11、老人などを対象に詐欺商法が依然あとを絶ちません。悪徳業者から守る仕組みづくりを要望します。成年後見人制度の普及の促進や、地域の業者など民間とも協力し早急におこなうようお願いいたします。


12、街づくりについて

(1) 地震及び自然災害への対策強化を引き続き要望します。特に地震については、学校などの公共施設の耐震・免震対策を早急に実施すること。また、民間住宅や中小オフィスビルなどに対しても、国の施策とあわせ、助成制度や耐震診断制度などの一層の充実強化を要望します。

(2) 有害アスベストの使用状況については引き続き十分調査公表を行うこと。除去については技術力を持つ地元中小企業への優先発注を行うこと。

(3) 東京を代表する歴史的価値のある地域においては、その歴史的価値を保護・保存することはもちろん、地域の再生のためにもその価値を考慮した商店街の再開発や再生にひきつづき取り組むこと。

(4) 文化的にも重要であり、地域に溶け込んでいる「地名」を簡単に変えるのではなく歴史や伝統、地域住民の感情をも考慮して行うこと。地名を変更した各自治体の意向も尊重しつつ、住民との協議の上、古い「地名」の復活を検討すること。

以上


おすすめ勉強会

詳細

渋谷支部・西部協議会
7月6日(木)
第12期 販売塾
大好評です!!ロングランで...
会場:東京中小企業家同友会・会...
報告者:販売力強化の第一人者・坂 陽風氏及びコンサルタント連合『青藍会』の強力講師陣
渋谷支部
7月20日(木)
もっと強く、新しい企業に!!第...
好評『販売塾』と両輪 も...
会場:東京中小企業家同友会・会...
報告者:販売力強化の第一人者・坂 陽風氏