経営者Q&A

民法改正によって債権の消滅時効期間が変わります(2018年4月)

【Q】そもそも債権の消滅時効って何ですか。

 債権について,権利を行使しないまま一定期間が経過した場合,消滅時効にかかったものとされ,その結果,原則として当該債権は消滅し,請求できなくなります(※ 1)。
 弁護士として各種のご相談をお受けする際には,「その債権が消滅時効にかかっていないかどうか」を常に念頭に置いて確認します。どれだけ証拠が揃っていたとしても,消滅時効にかかっていれば,それだけで請求が認められない可能性が高いからです。
 債権を確実に回収するためには,消滅時効の期間を把握し,時効になる前にしっかりと回収のための手立てを講じる必要があります。

※ 1 時効だと主張することが信義則に反する場合には権利の濫用として許されないとされ,結果として請求が認められるケースもあります が,あくまでも例外的です。

【Q】今回の改正によって,債権の消滅時効の期間はどう変わりますか。

 次のとおり変わります。

種類 具体例 現行 改正後
一般の債権 個人間の貸金等 10年 原則5年(※3)
商取引に基づく債権 会社間の取引上の債権等 5年
短期消滅時効が定められているもの(※2) 工事の請負代金 3年
卸売・小売の商品代金 2年
宿泊料・飲食費 1年
宅配業者の運賃

※ 2 具体例はいくつかピックアップしたものです。
※ 3 正しくは,「債権者が権利を行使できることを知った時から5 年,または,権利を行使できる時から10 年のいずれか早い方」となりますが,例えば,契約に基づく債権は,債権者が権利を行使できることを知っているのが通常ですので,原則 5 年と考えて差し支えないと思います。

【Q】新たな時効制度はいつから適用されますか。

 改正民法は,平成32 年(2020 年)4 月1 日から施行され,同日以後に生じた債権は新たな時効制度が適用されます。それより前に生じた債権は現行の制度が適用されます。また,施行日後に生じた債権であっても施行日前の契約等に基づくもの(例えば,施行日前の請負契約に基づき,施行日後に仕事が完成したことに基づく報酬債権等)は,現行の制度が適用されます。
 なお,従業員の賃金債権(退職手当を除く)は,現行法では時効期間は2 年(労働基準法115 条)ですが,民法の時効期間が改正されることに伴い,労働基準法115 条も変更すべきかどうかについて,現在,厚生労働省の「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」で議論されています。仮に時効期間が延長になれば,従業員から残業代請求等がなされた場合に経営にも大きな影響があるとされています。

 

長谷川 研吾(千代田支部)

HSG法律事務所
弁護士

TEL.03-6206-8556
FAX.03-6206-8557
E-mail : hasegawa@hsg-lawoffice.com
HP : https://hsg-lawoffice.com/

一覧へ戻る

おすすめ勉強会

詳細

北支部
11月26日(月)
ど~して 言葉が通じないの!?...
   ...
会場:北とぴあ 701会議室
報告者:乾 加代子氏(サンワ印刷紙工㈱ 代表取締役社長)墨田支部