ゼロゼロ融資の元本返済対策(2025年7月)
Q
新型コロナウイルスの蔓延時に、いわゆる「ゼロゼロ融資」を受け、元本返済据え置きの状況でしたが、返済開始時期が到来しても、業績が回復せず、返済資金が足りず、金融機関に相談し、元本返済の開始を止めてもらっています。今後、どのようにすればよいでしょうか?
A
多くの業種で、新型コロナウイルスの影響を受け、業績が悪化しました。コロナ禍を機に、自社の業界の構造が変化したり、消費者の生活様式が変わったりして、コロナ以前のような業績に回復しない企業は多々あります。
- 自社の財務状況を早期に正確に把握する
(1)資金繰り表で資金ショートの早期発見
月次の資金繰り表を、最低6 か月先まで計画として作成し、どの時点で、手元資金(現預金)が枯渇する可能性があるかを、常時、かつ、早期に把握すべきです。当月の資金繰りの結果が出たら、またひと月分の資金繰り計画を立てて、常に6 か月先の予想を把握しましょう。どこかの月で資金ショートが予想された場合、早急に資金調達や、支払いの延期交渉等、対策を打ちましょう。
(2)収支の適正性の確認と価格改訂
昨今の経費高騰に対し、残高試算表等をチェックし、適正な利益が確保できているか、確認しましょう。利益不足の原因が、原材料費にあるのか、販管費にあるのか突き止めるとともに、経費の削減や、値上げ交渉を実行しましょう。 - 業績回復の具体的なアクションの計画と実践
自社が属する業界や市場の構造が、コロナ禍によって変化し、単に、同一業界の新規顧客開拓だけでは、業績の回復が見込めない場合、ビジネス(戦略)の大幅な転換を検討しましょう。例えば、BtoB であったビジネスを、BtoC に転換したり、今までとは、全く別な業界への参入を検討したりなどです。損益計算書の「売上総利益から上」の構造を大幅に変化させる取組が必要です。つまり製品・サービスや、市場の変更です。自社の強みを十分理解し、何ができるかではなく、顧客の欲しているニーズは何かに焦点を当てましょう。 - 金融機関のへの借り換えの相談
借入金返済が厳しい場合は、やはり、金融機関に相談しましょう。東京信用保証協会では、ゼロゼロ融資返済が厳しい事業者に対し、「フェニックス」という借換え商品を用意しています。メインバンクを通じ相談し、信用保証協会指定の専門家派遣を受けることをお勧めします。返済期限の延長や、保証料等の相談が可能です。そのためにも、メインバンクとは日ごろから良好な関係を築いておきましょう。
木村 洋一(荒川支部)
木村ビジネスコンサルティング
中小企業診断士
TEL :090-8463-2433
E-Mail:yo_yo_yo_kimura@yahoo.co.jp
事業内容:中小企業診断士です。経営改善計画策定等の他、下請企業出身のため同じ目線で会話ができると思います。