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中小企業家群像

環境機器のプロ集団を目指して ~互いの役割を生かし、生かされ歩む経営~
山本 邦明 氏 

株式会社デュコル
取締役社長
山本 邦明 氏 (豊島支部)

【会社概要】
住 所 東京都足立区入谷9-6-15
創 業 2002年 2 月 22 日
事業内容 環境保全に関するエンジニアリング、コンサルティング、遠心粉末機器の運用、製造販売
従業員 12名
U R L https://www.ducol.co.jp/

デュコルには2つの事業がある。ひとつは創業からの環境設備関連の事業。もうひとつは関係先から引き継いだ遠心粉末製造機器事業である。前者は設備の製図までを内製しており(製造は協力会社に発注)、後者は製造機器を保有運用し、製品販売(機器自体の販売含む)も行っている。
インタビュー終盤にこの遠心粉末機器を見学させていただきながら今後のことを伺うと「まだまだ満足していない部分もあり、やりたいことはいっぱいある」と山本邦明氏は少年のように軽やかに手を広げ、「でも、まわりの状況も見ながらね」といたずらっぽく笑った。
古今を問わず、小さな子たちは「いないいないばあ」や「むすんでひらいて」が大好きだ。なにかがはじまるかもしれないというワクワク感かもしれないし、予想外のことを期待してしまうドキドキ感かもしれない。この感覚は大人になったって、みなどこかで求めているであろう。集中とゆるみの間には、きっとなにかが棲んでいるのだ。
山本氏は少年の頃からものづくりが好きで、いろんなものを分解してしまったそうだ。「どういう仕組みで動いているのか知りたかったんでしょうね」と微笑む。それは機械工学科への進学につながった。
「新卒入社した先は大手化学メーカーで、勤め上げる気持ちで決めました」と山本氏。しかし、バブルがはじけ、所属していた事業所が解散することに。「大手で生きるのも過酷だなと思いました。実は私はスキューバダイビングが趣味で、海に近い勤続先で気に入っていたのですが異動配属先は潜れる場所がない」。「ということで会社を辞め、スキューバダイビングで食べていけないかと2年間オーストラリアに渡りました」と笑う。結果、2年後には帰国するも日本の景気はより悪化していた。仮に、よって立つものがなくとも、生きていけることを海外で学んだ山本氏は駅の売店で売られていた技術系求人誌を手に取った。そして環境設備系の企業に目が留まり、入社をした。デュコルへとつながる一歩である。
入社した会社の事業は、たとえば工場など生産・処理過程で生じる粉じんや臭気などの対策を行うものであった。「働く仲間に恵まれまして短期間で私も仕事が身につきました」。特に親ほど年齢の離れた上司からは「お前、こういうところがこの仕事の面白さなんだぞ」と醍醐味や提案することの楽しさを教えてもらったという。そして紆余曲折があり、山本氏はこの会社の同期3名とデュコルを2002 年に設立することになった。
当時は赤羽駅すぐそばに事務所を構え、昼夜問わず働きに働いた。昼は事務所で、夜は焼肉屋の無煙ロースターのメンテナンスを行った。しかし、体力気力ともに限界を感じ、アルバイトを雇うなど状況を整えはじめた。一方、会社ホームページからは前職でクライアントから連絡が入るようになった。一所懸命に業務をやりとげる日々が続いたとき、再び転機が訪れた。前職で尊敬していた上司がデュコルの手伝いをしてくれることになったのである。「技術面でのアドバイスはもちろん、先輩の顔で仕事がつながるということも増えました。本当に助かりました」。併せて前職の人材もデュコルへと参加をしてくれる流れもできた。
それら人材が集まり、デュコルの独自性ー工場などで働く人がよりよい環境で働くための課題発見、対策提案、それら設備の設計・製造・工事・メンテナンスまで一貫して行える点ーに磨きがかかっていった。「しかし、失敗もたくさんしてますよ」と、パッと屈託のない笑顔で話す山本氏。設備を据え付けるための現場作業立ち合い時にケガをし、3週間入院をすることがあったのだ。病院では指示こそはできたものの、社員の助けがあって乗り切れたと振り返る。そのような中、設立10周年を迎えたときに東京同友会に入会をする。きっかけは大学の学科と部活まで一緒だった橘純一氏(三多摩支部)の紹介である。次いで成文化セミナーを受講し、社内にも持ち帰り理念を作り上げた。結果、理念に基づきガバナンスを優先すべく、苦渋の人事決断をしたこともあったという。また自身が入院したときの経験を押し広げ、事業承継の検討も続けた数年であった。「社員とも将来を相談し、当社が持っていない独自性を持つ企業との経営統合を2025 年に行うことが出来ました。お互いを活かしあえる会社と一緒になれてよかった」と目元がゆるむ。
冒頭の遠心粉末機は一桁ミクロンのパウダー(主に金属)を遠心力で生み出す国内でもごくすくない装置である。「素材の工夫、用途の可能性含め、チャレンジできることはたっくさん」と目が輝く。
人と人をむすんで、むすんで。そして、パッと可能性を開き歩み続けた山本氏の足取りはこれからもデュコルで続いていく。

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