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お知らせ

2026.05.01 お知らせ

東京同友会かわらばん イラン情勢VOL7

イラン情勢かわらばん VOL7 東京中小企業家同友会会員の皆様へ

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ニュース1 東京同友会発信の中小企業の現状が朝日新聞に掲載されました

ニュース2 特別寄稿 イラン情勢から想定される法的リスク

前田・鵜之沢法律事務所 弁護士 鵜之沢大地 先生

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ニュース1 東京同友会発信の中小企業の現状が朝日新聞に掲載されました

東京同友会では会員企業の受けている経営の影響について詳細をまとめ、報道機関に幅広くリリースし世論に中小企業の実情をとどけています。そしてこの度、朝日新聞に会員企業の事例が大きく掲載されました。

詳細はこちら(外部リンク)

 

ニュース2 特別寄稿 イラン情勢から想定される法的リスク

前田・鵜之沢法律事務所 弁護士 鵜之沢大地 先生による特別寄稿

昨今のホルムズ海峡を巡る地政学的リスクは、サプライチェーンの分断や急激な原価高騰をもたらし、企業活動に甚大な影響を及ぼす可能性が高まっております。有事の際、企業間取引においては、それぞれの立場で以下のような事態が想定されます。

 

【想定される主な法的・経営的リスク】

■ 売手企業側におけるリスク

① 原価(調達コスト)の高騰に伴う、取引価格値上げの必要性

② 部材確保が困難となり、物品の提供ができないことによる納期遅延、納入不能

③ 上記遅延等を理由とする、買手からの多額の損害賠償請求や契約解除リスク

 

■ 買手企業側におけるリスク

① 調達コスト上昇の転嫁による大幅な予算超過、及び追加資金調達の必要性

② 目的物の完成遅延に伴う営業上の機会損失、及び自社顧客への債務不履行リスク

③ 最終的な完成品の売買(納品)が滞ることによる、資金繰り悪化・倒産リスク

 

これらの事態を防ぎ、会員各社の事業基盤を守るためには、今のうちに法務面での防衛策を講じておくことが重要です。以下では、考えられる対応策をご案内申し上げます。

 

1.事前の合意形成と証拠化(契約書・覚書・メールの活用)

有事の際のトラブルを防ぐためには、合意内容の証拠化が不可欠です。

 

①契約書の新規締結: 長年口頭での発注のみであった取引先に対し、昨今の情勢変化やコンプライアンス強化を契機として「基本契約書」を新たに取り交わす。

 

②覚書の取り交わし: 直ちに正式な契約締結が難しい場合は、既存の契約書を補完したり、口頭での合意内容を書面化する「覚書」を取り交わす(効力は契約書と変わりませんが、「覚書」という表題の場合、堅苦しさが和らぎ、書面取り交わしの可能性が高まる効果が狙えます)。

 

③メールによる証拠化: 書面での取り交わし困難な場合、最低限の防衛策として、自社の取引条件を明記したメールを送信し、相手方から「承知しました」という同意の返信を受信・保存しておく。

 

2.「どのような時(要件)」に「どうなる(効果)」をはっきりさせる

合意形成を図る際には、「どのような時に(要件)」「どうしてほしいか(効果)」を明確にすることが重要です。契約書に「不可抗力」条項がある場合でも、不可抗力条項はその射程範囲が抽象的なことが多いため、具体的な表現への見直しも併せてご検討下さい。

 

①どのような時(要件)の例

・「特定の原材料価格(または輸送費)が〇%以上上昇した場合」

・「資材の調達が○日以上不能となった場合」

※要件を考えるときは、「どの様な状況だと自社の経営に影響が出るか」「その様な状況は第三者から見ても自社の経営努力を超えたもの(不可抗力)といえるか」を検討して頂くといいかと思います。

 

②どうなる(効果)の例

・「当該事由が生じた日の翌月から、代金は○%値上げされる」(スライド条項)

・「遅延損害金の支払義務を免除される」

・「損害賠償義務を負うことなく契約解除ができる」

※スライド条項に関しては、特に建築公共工事では既に取り入れられており、その内容を他の業種でも応用することが考えられます。

 技術調査:各種スライド条項(全体スライド、単品スライド、インフレスライド)について – 国土交通省

 

3.取適法(旧下請法)等の「武器」としての活用

2026年1月より、従来の下請法は「取適法」へと改正・施行されました。改正により、従業員が一定数(例:発注者が300人超、受注者が300人以下)を超える企業も対象となり、中小受託事業者の保護が大幅に強化されました。地政学リスク等に伴うコスト増に対峙する際、取適法は重要な交渉の盾となります。

中小受託取引適正化法(取適法)関係 | 公正取引委員会

 

・「協議に応じない一方的な代金決定」の禁止:原価高騰を背景に売手から単価引上の協議を求めた際、買手が協議を拒絶したり、理由なく従来価格を据え置く行為は法律違反となります。これを根拠に、適正な価格転嫁の協議を要求できます。

昨今の予測困難な取引環境下において、会員企業の皆様が抱える種々の法的リスクに対し、専門的見地より微力ながらご支援申し上げる所存です。本件に関する契約書のレビュー、覚書の作成、または具体的な交渉方針など、実務上のご懸念やご不明点がございましたら、何なりとご相談賜りますようお願い申し上げます。末筆ではございますが、貴会および会員企業の皆様のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。

 以上

 

 

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