2026年度上期 会員企業実態調査 全項目集計報告書
一般社団法人東京中小企業家同友会では、会員である中小企業・小規模企業の経営現場における実態を把握し、当会の活動に反映することを目的に「会員企業実態調査」を実施いたしました。
本調査結果を広く発信することにより、行政、報道機関、金融機関、支援機関をはじめとする各機関との関係構築を図るとともに、中小企業の経営実態に関する周知に努めてまいります。
併せて、全国および地域動向を反映した「2026年1-3月期 DOR調査 サマリー(景況分析)」を掲載いたします。
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【目次】
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会員企業実態調査 概要
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回答企業の属性
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業況・収益性と資金繰りの実態
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金融機関との関係・雇用と「年収の壁」
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経営判断とデジタル(生成AI)の活用
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会員企業における具体的な取り組み(自由記述)
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2026年1-3月期 DOR調査 サマリー(景況分析)
1. 会員企業実態調査 概要
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調査名: 2026年度上期 会員企業実態調査
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回答期間: 2026年3月26日 ~ 5月1日
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回答方法: インターネットによる自動集計
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有効回答数: 192件
2. 回答企業の属性
■ 代表者の属性
創業社長および二代目以降(親族内承継)が全体の約9割を占める。
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創業社長(起業家):50.5%
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二代目以降(親族内承継):38.5%
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招聘・承継(親族外承継):8.3%
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その他:2.6%
■ 業界区分
建設、製造、BtoBサービスなど、多岐にわたる業種から回答を得ている。
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サービス(BtoB):45.5%
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製造:13.8%
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その他:13.8%
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サービス(BtoC):12.7%
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建設:11.1%
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飲食・小売:3.2%
■ 主要なビジネスモデル
専門知識や技術を提供する「知材・スキル提供型」が半数を占める。
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知材・スキル提供型(専門知識や技術を販売):50.5%
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労働集約型(マンパワーが売上に直結):30.2%
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物販・流通型(仕入れと販売の差益が主):13.0%
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設備・店舗型(設備投資や立地が重要)など、その他:約6%
3. 業況・収益性と資金繰りの実態
■ 昨年度の経営実感(前年比)
5段階評価(5が最高、1が最低)において、「3」~「5」に多く分布。売上高の維持・増加は見られるものの、手応えにはばらつきがある。
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評価「3」:35.4% (68件)
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評価「4」:27.1% (52件)
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評価「2」:16.7% (32件)
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評価「1」:11.5% (22件)
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評価「5」:9.4% (18件)
■ 粗利益率の変化
コスト増と同等の価格改定ができた企業が「維持」とする一方、価格改定が追いつかず、コスト増を自社で吸収する「下落」に多くの企業が直面している。
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維持:47.4%
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下落:23.4%
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上昇:20.8%
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大幅下落:5.2%
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その他:3.1%
■ 現在の資金繰りの「ゆとり」と窮屈な要因
資金繰りに「ゆとりがある」と答える層(評価4~5)も一定数存在するが、外注費や人件費の高騰、売上減少が圧迫要因となっている。
【資金繰りのゆとり(5段階評価)】
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評価「3」:34.6% (66件)
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評価「4」:21.5% (41件)
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評価「5」:15.7% (30件)
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評価「1」:14.1% (27件)
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評価「2」:14.1% (27件)
【資金が窮屈な主な要因(複数回答・回答数)】
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外注費・人件費の高騰:63件
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売上そのものの減少:57件
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仕入原価の転嫁不足:22件
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設備・DX投資等の先行投資による一時的圧迫:20件
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借入金利の上昇:12件
4. 金融機関との関係・雇用と「年収の壁」
■ 金融機関との関係と借入難度
都市銀行、地方銀行、信用金庫など、いずれの金融機関においても借入難度は概ね「変わらない」との回答が最多。
■ 金利引き上げ提示の際の「説明内容」
金融機関からの金利提示は、日銀の動向など「社会情勢による一律の引き上げ」との説明が主であり、自社の業績や格付けに基づいた個別具体的な説明は限定的である。
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「世の中の流れ」による一律の引き上げとの説明:45.1%
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現在のところ、金利変更の提示はない(引き上げなし):41.5%
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その他:7.9%
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自社の評価(業績や格付けの変動)に基づく説明:約5%未満
■ 「経営者保証の解除」への関心とハードル
すでに解除済みの企業が4分の1を超える一方、「関心がない」層や、解除手順が不明確な層も一定数存在する。
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特に関心がない:37.4%
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すでに解除済:26.9%
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解除したいが、資金繰り維持で手一杯である:10.5%
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進めたいが手順がわからない:10.5%
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メインバンクへの相談に心理的な不安がある:4.7%
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その他:9.9%
■ 賃上げ原資の確保(複数回答・回答数)
賃上げ原資を確保するための手段としては、「販売価格への転嫁」や「労働生産性の向上」が上位を占める。
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販売価格への転嫁:94件
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労働生産性の向上(効率化・IT活用):73件
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利益(内部留保)の削り出し:30件
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賃上げを実施できる状況にない:21件
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その他:19件
■ パート等の「働き控え(就業調整)」が発生している最大の要因
「発生していない」が約6割。発生している企業においては、「社会保険料負担への抵抗(働き損の回避)」が最多である。
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発生していない:60.7%
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社会保険料負担への抵抗(働き損の回避):21.4%
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配偶者の勤務先(他社)の壁(配偶者手当の維持):7.1%
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自社の時給アップによる壁:5.7%
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その他(収益力の限界等):約5%
5. 経営判断とデジタル(生成AI)の活用
■ 中東情勢の悪化を受けての経営判断(複数回答・回答数)
現時点では「特に経営判断に変化はない」が最多。ただし、先行き不透明感から賃上げ幅の慎重な検討、手元資金の確保、供給網(サプライチェーン)の見直しを挙げる企業もある。
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特に経営判断に変化はない:101件
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先行き不透明なため、賃上げの実施や幅について慎重に検討せざるを得ない:52件
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資金繰りに備え、手元資金の確保や融資の検討を始めた:29件
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供給網の見直しや、仕入先の分散を急いでいる:24件
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コスト増を懸念し、新規の設備投資や事業拡大を一時見合わせる:15件
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その他:8件
■ 生成AI(ChatGPT等)の活用を躊躇する理由(複数回答・回答数)
「機密保持(情報漏洩)への懸念」が最大の躊躇理由となっている。
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機密保持(情報漏洩)への懸念:53件
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精度の不安(確認の手間が増える):24件
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教育コスト(誰が教えるか):24件
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必要性を感じていない:21件
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倫理・著作権の問題:15件
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積極的に活用している:13件
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その他:34件
6. 会員企業における具体的な取り組み(自由記述より要約)
困難な経営環境のなか、会員企業が実践している取り組みの事例。
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人財・組織への投資と維持: 経営理念の浸透、全社一丸での週次計画とPDCA展開による組織変革。新卒採用での定着率維持や社内副業の支援、高度専門職外国人材の活用。
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事業・技術の変革への挑戦: 自社開発の体験型ゲームや、ロボットとデジタルを融合した無人接客の導入。既存の経営資源を組み替えた新規事業の展開や、新たな収益の柱としての免許取得。
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経営環境への対応: 原価上昇に伴う徹底的な価格転嫁の実践。リスケジュール状態からの回復と事業継続。
7. 2026年1-3月期 DOR調査 サマリー(景況分析)
1. 市況の二極化と価格転嫁の現状
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業況の推移: 売上高DIは上昇(5→10)し需要は底堅いものの、現在の状態を示す業況水準DIは水面下(3→-1)へ下落。
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業種間の相違: 製造・建設(BtoB)は需要があるもののコスト・供給制約が課題。流通・商業(BtoC)は物価高による消費者の買い控えに直面。
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価格転嫁: 仕入単価DIが「63→70」と急上昇したのに対し、売上単価DIは「45→45」と横ばい。コスト増加分の1割未満しか価格転嫁できていない企業が約33%に上り、利益が圧迫されている。
2. 供給制約と投資シフト
人手の過不足感DI(-42→-46)、設備の過不足感DI(-17)ともに不足感が深刻化。供給体制のボトルネックを解消するため、設備投資の理由として「能力増強」を挙げる企業が52.8%と最多。
3. 関東・首都圏エリアの特徴(全国平均との対比)
関東エリアでは、売上改善が見られる一方で、それに伴う急激なリソース不足が鮮明となっている。
| 項目 | 関東・首都圏の特徴 | 全国平均との比較・動向 |
| 売上・利益 | 売上高DI「12.0」 | 全国平均(10.0)を上回る。経常利益DIもプラス。 |
| 単価の上昇圧力 | 仕入単価DI「62.5」、売上単価DI「39.0」 | 全国(仕入69.8 / 売上45.1)に比べ、価格上昇の動きはやや緩やか。 |
| リソース不足 | 設備の過不足感DI「-23.2」 | 全国(-17.1)に比べ、設備不足・人手不足が非常に深刻。 |
| DX・先端投資 | 生成AIプロジェクトチームの設立、DXやペーパーレス化の推進 | 業務効率化や生産性向上へ向けた前向きな取り組みが他地域より多い。 |
■ 総括
今期は「需要はあるが人手・設備不足で対応できない」「コストを十分に価格転嫁できない」という構造的課題が業況感を押し下げている。しかし、関東・首都圏を中心に、AIやDXへの投資による生産性向上や、新規事業展開による付加価値の再定義へと舵を切る動きが進行している。












