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2019.06.11代表理事談話「最低賃金引上げに対する当会の主張」

最低賃金引上げに対する当会の主張

1 本件をめぐる情勢
今般、政府が最低賃金を全国加重平均1000円に引き上げたいとの方針に対し、商工会議所他中小企業3団体はこれに強く反対であることを表明しています。その後他の団体からも賛否の表明が相次いでおります。
最低賃金という理念は122年前イギリスに於いて「国家が国民の最低生活を護る責任を有する」(ナショナルミニマム)の一つとして誕生いたしました。
我が国に於いてはこの理念を日本国憲法に於いて憲法第25条の「生存権」として国家の使命として規定しています。更にその精神は企業経営の現場においては「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」と労働基準法第1条に明記されております。

2 中小企業の現状
2019年度の日本の実質GDP成長率は0.8%と小幅な減速、大企業の賃金は緩やかに増加する一方中小の足取りは遅く実質賃金は低迷、実感なき消費回復といわれています。
その中で2019年10月の消費増税が予想され、米中対立の外需リスク、人口減少と高齢化という不可逆的な変化を背景とした地方経済の衰退が進んでいます。
この状況下でナショナルミニマムの一つである最低賃金の確保を国と共に中小企業が担って行くためには下記の条件が必須であると考えます。

3 求められる3つの条件
①    中小企業に対する法人税や社会保険料等の減免等の原資によって企業が最低賃金を確保できる環境を整備すること。
②    懸念される地域格差は原資となる減免幅に地域格差を反映させること。
③    消費税増税を強行する場合は「給付付税額制度」の導入等によってセーフティーネットの整備を図ること。

4 私たちの主張
ナショナルミニマムの一つである最低賃金の確保は国家と国民の責務であって、企業のみが単独で担う責務ではありません。また、技術の発展による利便の向上やライフスタイルの変化の中で「ミニマムの度量衡」は明らかに変化を示しています。最近の隣国の経済政策の大きな失敗をみても性急な引上げは、中小企業の淘汰を加速し雇用の場を奪い、ひいては国民の利益を損なうことになりかねません。
政府は先ず国としてナショナルミニマムの水準を国民に示す責務があります。更には前述した3条件を整備した上で企業に対し最低賃金引上げを要請すべきと考えます。私たち企業家は義務としての最低賃金ではなく、経営者としてナショナルミニマムを超える賃金の支払可能な企業体質を目指し、社員と共に自主的、自律的に企業経営に邁進することが求められます。それこそが企業家精神の促すところであると信じるものであります。

以上

2019年6月11日
東京中小企業家同友会
代表理事三宅一男

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