2023.11月 会員企業実態調査にて取引環境、賃金等を調査
東京同友会では2023年11月に実施した、会員企業実態調査の結果を公開しました。
【調査概要】
調査期間:2023年11月1日 – 11月30日
回答対象:東京同友会会員
回答数:126件
回答方法:インターネットによる自動集計
【調査項目】
業況
取引環境
金融機関との関係
知的財産権の活用
インボイス制度導入後の影響
賃金
離職対応
【主な調査結果】
業績(7-9月期)
売上高が「1割以上上昇」が45.5%
受注単価の変化は鈍く、「不変」が52.9%
人件費はわずかに増加傾向
業績(10-12月期)
売上高が「増加1割以上」が44.8%
受注単価の変化は鈍く、「不変」が50.0%
人件費は増加傾向
資金繰り・利益計画の進捗
2期ともに「安定している」が最多
利益計画は未達が3割に上る
借入難度
「変化なし」が69.8%
金融行政の動向に注視が必要
業界の見通しと経営課題
業界見通しは「拡大見込み」が最多
経営課題では「現場人材の不足」が最多
知的財産権の活用
戦略的に活用している企業は12.0%
重要性は認識しているが活用できる権利がない企業が39.2%
価格転嫁
行政との取引で価格転嫁が立ち遅れており、物価スライド条項の柔軟な対応など制度是正が不可欠。公契約条例制定の広がりへの期待が高まる。
改正電子帳簿保存法、インボイス制度
改正電子帳簿保存法への対応は、44.5%が「内容を把握し業務フロー等の見直しを行っている」と回答。「対応は完了した」との回答は27.3%となっている。インボイス制度に伴う事務負担の増大や影響に対するネガティブな意見が多い。
賃上げ対応
一時金・賞与、基本給、初任給の増額が多い。基本給については70.0%が増額と回答。
賃上げ余力は「乏しい」との評価が57.8%
離職防止が経営上の課題となっている
【結論】
調査結果から、売上は回復基調がみられる一方で、原材料費や人手不足とそれに起因する防衛的賃上げの実施などから利益が出にくい状況となっていること。対個人や対行政との取引では対法人取引ほど価格転嫁が進んでいない状況。そして、付加価値を高めるために欠かせない知的財産権の活用が進んでいない実態が浮かび上がりました。また、改正電子帳簿保存法への対応やインボイス制度をめぐる対応では混乱が続いているとの実態も明らかになっています。
中期的な業界見通しは拡大傾向との見通しがある中で、売上目標や利益目標の未達下方修正が一定割合存在していることは注視が必要です。コロナ危機対応の出口では事業計画の策定とその進捗を内外と共有しながら、継続的な経営課題の解決に取り組む必要性がますます高まっていることが示される結果となりました。
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