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経営者Q&A

「ドメイン」って何ですか?(2000年1月)

Q

経営指針をつくる時にドメインと言われますが、よく分かりません。

A

ドメインとは会社の活動領域、事業領域を言うのですが、分かりにくいのは、表現方法に「物理的定義」と「機能的定義」の二つがあるからです。
「物理的定義」とは、建築会社が「当社は建築業である」と表現するようなこと。
同じ会社でも「快適空間創造業」と表現すれば「機能的定義」になります。定款に記載している営業品目は、物理的定義の一種と言えます。

Q

どちらで表現するのがよいのですか?

A

一概には言えませんが、物理的定義だと会社の向おうとする方向が見えなかったり、役割が限定されたりすることがあります。
たとえば、アメリカの鉄道会社が「運輸業」と定義しないで「鉄道業」と定義したばかりに、自動車輸送事業にも航空事業にも進出できず斜陽になったのは有名な話です。

Q

今、なぜドメインが重視されるのですか。

A

社会全体が転換期に入り多くの会社が従来からの延長線上ではやっていけなくなったからです。事業や事業領域の見直しが必要になっています。 もう一つは事業領域を明らかにして社員の力を結集しないとこれからの経営では勝てないからです。

Q

ドメイン設定はどのように進めればよいのですか。

A

ドメインは基本戦略の一環です。
基本戦略とは「誰に」「何を」「どんなやり方で」提供するのかということですが、この「誰に」に当たるのがドメイン設定です。  
基本戦略を決めるためには「わが社はどんな会社になりたいのか」、「わが社の得意な能力はなにか」、「わが社に求められているものは何か」というように考えてゆくと前に進みます。この基本戦略が決まればドメインも表現しやすくなります。

Q

最後によいドメインとはどのようなものでしょうか。

A

第一に「分かりやすく誰にも受け入れられやすい」ということです。分かりにくくイメージの沸かないようなものは定着しません。  
第二に「事業領域の絞り込みと広さのバランスがとれている」ことです。あまり広いと漠然として集中できませんし、狭すぎるとアメリカの鉄道会社のように自ら活動範囲を狭めてしまいます。  
第三に「進もうとする方向を示唆するようなもの」であることです。
NECの「C&C」(コンピュータ&コミュニケーション)というドメインは有名ですが、これで何万人もの社員が進むべき方向が分かったといわれます。  
第四に「成長分野である」のが望ましいということです。  
第五に「できるだけオンリーワンを狙えるような方向」にするということです。  以上の五点に留意して設定されるとよいドメインになります。

近代経営研究所 代表:根本 寛
TEL 045-972-1480

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