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経営者Q&A

No.2を解雇したいのですが?(2002年5月)

Q

私の右腕を切りたいのですが。

A

えっ!?

Q

わが社のNo2で長年私と一緒にやってきた専務のC君ですが、このところ専横が目立ち、意見しても聞き入れないどころか、勝手に受発注するなどして、出入り業者との癒着もあるようで、このままでは社員も騒ぎ出します。会社を立て直すにはやむをえない決断なのです。「泣いて馬謖を斬る」の思いです。どのような点を考えておけばよいでしようか。

A

なるほど、あの上杉鷹山でさえ改革の右腕となった家老竹俣当綱を切らねばなりませんでしたからね。

ところでCさんは、純粋の役員ですか、それとも社員兼役員ですか。純役員だと株主総会での解任決議だけであり、あとは退職慰労金を払うか否かで、これも株主総会決議で決めることです。社員兼役員であればこれに加えて就業規則の解雇条項にあてはまらなければ解雇できないことになります。もし、懲戒解雇(予告手当なし)するなら、労基署に解雇理由を届け出て認定を受ける必要があります。相応の退職慰労金(役員)や退職金(社員)を払う気があれば話し合いで十分解決できるでしょう。もし、そのようなものなど払いたくない、というのであれば裁判をかけられる可能性が大です。

その場合には、解雇理由として具体的事実が必要となりますから、これまでの専横行為や、業者癒着の事実などについて十分な調査資料を作成しておくことが必要です。

Q

ところで、C君には会社の株を10%持たせているのですが、これはどうなるのでしょう。実はこの株も、C君が現実に出資したわけではなく、右腕としての自覚を持ってもらうため、私がそのような形にしておいたにすぎないのですが。

A

現実の出資はしていないといっても、長年株主として扱ってきたのなら、役員報酬を株で払ったという見方をされるでしょうから、いまさら名義だけだといっても通らないでしょう。いずれ、Cさんの株はこちらで買い取らなければなりませんが、非上場会社の場合、その価格算定が非常に難しいですね。まず、公認会計士に頼んで一応の評価額を出してもらって交渉してみることです。それでダメな場合、裁判所に申し立てて株価を決めてもらうこととなります。これは非訟事件といって通常の訴訟手続ではない方法で株価決定をすることになります。裁判所でも、やはり公認会計士や不動産鑑定士などに鑑定の嘱託をして株価を決めることになりますからその鑑定料は当事者負担です。また、期間的には最低1年くらいかかるでしょう。

原口 紘一(三多摩支部)
原口法律事務所
TEL 03-3361-9633

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