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経営者Q&A

経営計画書の作成手法について(2002年6月)

Q

わが社では、今まで経営計画書なるものをつくったことがありません。この経営環境の中、生き残るためにも経営計画書を作成したいのですが、どのようなことに留意したらいいのでしょうか?

A

意外と多くの会社が、経営計画書なしで会社経営をされておられるのに驚かされます。そんな幸運な会社はこれから希少になると思われます。幸い御社では経営計画の必要性を認められたということですので、私の知るところをお話します。次のことを特に気をつけてください。

1 見栄えのよい経営計画書をつくろうと思わない。
2 経営者、経営幹部の参加で作成する(社長は必ず参加)。
3 参加者全員が必ず電卓を叩くこと(経営計画書づくりを通して自社の数字が頭に入る)。
4 土曜または日曜を充てる(外部連絡等で中断されないため)。
5 売上予定、借入金返済計画書、給料台帳、リース契約書、総勘定元帳2期分、会社組織図その他必要な書類の事前準備を行っておく。

Q

具体的な作成にあたっては?

A

計画書には、期間の長期、短期の別や作成目的によって、通常の決算期前に作成する次期経営計画書、新規投資に当たって作成する経営計画書、経営不振に伴う再建のための経営計画書その他があり、長短やその作成目的によって重点とする箇所は違いますが、基本とすべきことは変わらないと思います。次に主なものを列挙しておきます。

1 長期計画は当然、短期計画においても、自社の将来あるべき姿を念頭に置いて作成する。
2 売上については、担当者別または課別、地域別、取引先別のように、実際の営業活動にリンクした形で把握する(後日の対応のため)。
3 費用については、必ず変動費と固定費に区分する(このことで粗利益および粗利益率が把握でき、必要な売上高を逆算することが容易になる)。
4 前年度比何パーセント増または減とする計画書づくりは、せっかくの経営計画書作成の効能を激減させると知るべきです。
5 特に再建計画の時は、売上区分ごとの変動費の詳細なチェックと過去の総勘定元帳から固定費の費用項目についても、それが本当に必要か否かを精査することが大切です。
6 損益計画をつくり終えたら、必ずキャッシュフローはどうか、資金繰りは大丈夫かを計算することを忘れないでください(損益計画の下に簡単な資金繰り表を付け加えると便利です)。

その他に気をつけることとして、経営計画書をつくったら必ずこれをもとに、毎月の試算表から予算と実際の対比表を作成して、大きな不一致箇所の原因究明、対策に役立ててください

経営計画書と経営理念は会社の両輪であり、経営計画書作成と子実の検討があって初めて、社長は、的確なリーダーシップが可能となり、社員も進むべき方向が分かるのではないかと思います。

土田 義二(豊島支部)
土田会計事務所
TEL 03-3981-0328

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