タイトルアイコン

経営者Q&A

株式譲渡承認請求について(2020年6月)

Q

当社は株式譲渡制限会社ですが、ある株主から持株を他人へ譲渡することの承認を求める申し出がなされました。聞くと譲渡先は少々いかがわしいし、金額も高すぎるものなので、不承認だと言ったら、内容証明で会社法にもとづく譲渡承認請求というのを送りつけて きました。 どうすればよいでしょうか。

A

その場合、会社のほうで、譲渡先をほかの人に指定するか、会社が自社株として買取りをするか、どちらかを選んで通知しなければなりません。そして、その場合の譲渡価格を決めなければなりません。この譲渡先と価格について話合いで決まれば、あとは株主総会で承認するだけになります。しかし、先方から高額で買受ける人がいるということでの承認請求ですから、なかなか話合いは難しいと思います。
買取人指定にするか自社株取得にするかは会社で決められますが、譲渡価格は合意が得られなければ、裁判所に株式価格決定の申立てをすることになります。
裁判所は非訟事件ということで簡易な手続で審理され、価格を決めることになります。

Q

その審理にはどれくらいの時間と費用がかかりますか。

A

双方からそれぞれ公認会計士が作成した評価書を出し合って、裁判官が話をまとめることになります。そして、専門委員ということで裁判所に嘱託として登録されている公認会計士が裁判官の横に助言者としてつくことになります。(この費用はとくにかかりません。)ここで合意が成立すれば、すぐに終了します。この時の自分のほうで公認会計士さんに評価書を作成してもらう費用が、企業規模によって異なりますが100 から200 万円位でしょう。
合意が成立しないと、裁判所でも鑑定人を頼むことになります。これにやはり100 万円から200 万円位かかることになります。
この費用は最終結論に応じて当事者双方に按分されることになります。そして、この鑑定書を作成するまでの期間が2 〜4 ヵ月位かかることになるでしょう。鑑定書が出れば、あとは裁判官がそれに基づいて決定をするだけですので、すぐに結論が出ることになります。したがって全体で1 年前後位かかることになります。
このようなちがいにより、受任した弁護士の費用もかなりちがいが出ることになります。
以上のような手続きについては会社法に非常にこまかな規定がたくさんあり、一つでも間違えると相手方に有利な結論とされてしまいますので、必ず弁護士と相談しながら進めることをお勧めします。
また、会社での自社株買取り請求の場合には、決算書にもとづいて一応の株価相当額(純資産評価額)を供託するという手続きもありますので、事前に手続の全体についてよく説明を聞いておかれるほうがいいでしょう。

原口 紘一(三多摩支部)
原口法律事務所
弁護士

TEL.03-3361-9633
FAX.03-3369-6664
HP: http://haraguchi-lawoffice.jp
E-mail : haragchi@f7.dion.ne.jp

戻るボタン
経営を磨きたい 経営の相談をしたい 交流したい 人を採用したい