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経営者Q&A

相続法改正のポイント(2020年1月)

Q

相続法改正を簡単に教えてください。

A

1 配偶者居住権の新設
被相続人の配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の建物に相続開始後も無償で居住し続けられる権利です。この配偶者居住権には、配偶者居住権と配偶者短期居住権の2 種類があります。配偶者居住権は、遺産分割で取得することができますが、被相続人が遺贈で配偶者に取得させることもできます。存続期間は、原則として配偶者の終身の間ですが、遺産分割で一定期間を定めることもできます。この配偶者居住権は、対抗要件が登記とされているため、配偶者居住権設定登記をすることができます。
次に配偶者短期居住権は、先の配偶者居住権と違い、遺産分割を必要とせず、被相続人の配偶者が被相続人の建物に相続開始時に居住していたことにより、当然に発生する法定の権利です。存続期間は、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6 箇月を経過する日のいずれか遅い日までの間です。施行日は、2020 年4 月1 日からです。

2 自筆証書遺言の方式の緩和
旧法では、自筆証書遺言は、全文自書でなければいけなかったが、新法では、相続財産の目録を添付する場合には、自書でなくてもよくなりました。ただし、財産目録を自書以外で記載した場合は、すべてのページに署名押印をしなけばなりません。施行日は、2019 年1 月13 日です。

3 自筆証書遺言保管制度の創設
自筆証書遺言は、紛失や災害による消失、相続人による隠匿や変造など、さまざまな問題が指摘されていたところ、自筆証書遺言を確実に保管し、相続人等が相続開始後、容易に確認することができるよう法務局における自筆証書遺言の保管制度が創設されました。自筆証書遺言は、法務局の遺言者保管官に対し申請することによって保管することができます。なお、保管する遺言書は、法務省令で定める様式に従って作成した無封のものでなければなりません。この遺言書保管制度に基づいて保管された遺言書については、家庭裁判所の検認手続きは不要となります。施行日は、2020 年7 月10 日です。

4 遺留分制度に関する見直し
旧法では、相続が開始すると遺留分減殺請求によって、当然に相続財産は共有状態になっていましたが、新法では、共有状態とはならず、金銭債権として請求することができるようになりました。なお、遺贈や贈与を受けた者が、直ちに金銭を準備できない場合には、裁判所に請求することにより、裁判所は金銭債務の全部または一部の支払いにつき期限の許与を付すことができます。施行日は、2019 年7 月1 日です。

5 特別の寄与制度の創設
旧法では、相続人でないものが、生前にいくら介護等の世話をしていても相続財産を取得することができませんでしたが、今回の改正により、相続人の親族(相続人、相続放棄をした者、相続人の欠格事由に該当又は廃除によってその相続権を失ったものを除く)は、その特別の寄与に応じた金銭を請求することができるようになりました。被相続人に対する無償の療養看護その他の労務の提供が必要です。たとえば、長男の妻が、長男が亡くなった後もその長男の親の面倒を看ていた場合に、今までは相続財産を取得することができませんでしたが、今回の改正により金銭債権として支払い請求することができるようになりました。施行日は、2019 年7 月1 日です。

6 その他
婚姻期間が20 年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与に関する優遇措置や預貯金の払戻制度などがあります。

星野 勝彦(江東支部)

司法書士 星野事務所
司法書士

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