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経営者Q&A

働き方改革による時間外労働の上限規制について(2019年7月)

Q

2020 年4 月から長時間労働をしている会社には罰則があると聞きました。残業はどの程度まで許されるのでしょうか?

A

大企業は今年の4月からこの時間外労働の上限規制の対象となっていますが、中小企業は1 年猶予があり2020年4月から対象となります。
労働基準法では、労働時間は原則として、1 日8時間及び1 週40時間以内と定められていて、これを「法定労働時間」といいます。また、休日は原則として、毎週少なくとも1回与えることと定められていて、これを「法定休日」といいます。これらを超えて労働するには労働基準法36条に基づく労使協定(36(サブロク)協定)を締結し、労働基準監督署長へ届け出る必要があります。
これまで36 協定で定める時間外労働については、厚生労働大臣によって上限基準が定められていましたが、罰則が無く、また臨時的な特別な事情がある場合には上限無く時間外労働を行わせることが可能でした。今回の改正によって、罰則付きの上限が法律に規定され、さらに臨時的な特別な事情がある場合にも上回ることのできない上限が設けられました。
今回の改正の法律上の時間外労働の上限は、原則として月45 時間・年360 時間です。
ただし、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)はこれを超えることが出来ますが、以下の基準を守らなければなりません。
•時間外労働が年720時間以内
•時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
•時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内
•時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度
上記に違反した場合には、罰則(6 か月以下の懲役または30 万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。ただし、建設事業、自動車運転の業務、医師および鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業については5 年間猶予されます。
この機会に時間外労働は、会社にとってデメリットとリスクであるということを改めて認識していただきたいと思います。法定労働時間を超える時間外労働は、時給単価の1.25倍以上の割増賃金の支払いが生じます。支払わなければ未払い残業代請求のリスクが生じます。
働き方改革という時代の劇的な変化を好機ととらえて、時間外労働の削減と時間当たりの生産性の向上に努めて、令和時代を勝ち残る会社にシフトしましょう。

大谷 雄二(大田支部)

ソラーレ社会保険労務士法人
特定社会保険労務士

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