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経営者Q&A

賃金体系の改善策(2019年6月)

Q

当社は社員20 名で、給与体系は、基本給(年齢給と能力給)と諸手当(皆勤、家族、役職等) です。10年前から同じ給与テーブルを使い、年齢給は年齢に応じ、能力給は、等級(5等級) ごとに一律同じ号数で昇給し、評価はありません。最近は、運用に困っています。賃金体系改善策に つきご教示下さい。

A

基本給の決め方は様々です。社長が各人の年齢、経験、能力等を総合的に勘案し決定する。また、基本給を年齢と能力の2 本立てにし、給与テーブルで運用する方法等があります。総合勘案型では、社員の反発もありますから、改善策として、基本給の構成割合を能力重視に変更し、給与テーブルを作り変え、能力給に評価制度を導入することです。ここでは、評価制度は割愛し、能力給重視の賃金体系改善の手順について概説します。
基本給の年齢と能力の割合が、7 対3 ですから、能力給を重視するテーブルに作り変えます。基本給ピッチ(1 歳あたりの基本給の差額)が3,500円未満と小さいので、①皆勤手当を組み入れ、基本給の原資を増やします。一律支給の皆勤手当は基本給の仲間。他手当は、そのまま。次に②基本給原資の年齢、能力の割合を4 対6 にします。基本給の年齢給割合は新卒で8 割、50 歳位で4 割、頭打ちも視野に設計(経営判断)します。年齢給のみで生活ができるテーブルは作れませんので注意。
③能力給は、現状の5 等級制で、各等級の定義、目安年齢、目安滞留年数、対応の役職や資格を定めます。目安で設定すると柔軟な運用が可能。
各等級の初号金額は目安年齢を考慮し決定(1 等級初号は18 歳、実在又はモデルの18 歳基本給から年齢給を控除し、能力給の初号に貼り付け。以下同じ)。留意点は3 つです。まず、1 等級の号数は500 円以下で、上位等級の方が号数の金額が大きくなるよう設計。昇給金額に幅が持てるからです。次に、能力給テーブルは重複型に設計。隣の等級と重なる金額が登場し、原資に無理がありません。ただ、昇格のメリットが感じられないので、昇格手当を工夫する必要があります。3 つ目は、各等級の号数は、目安滞留年数で打ち止めせず、その3 倍程度に号数を確保。
中途採用等、柔軟な格付け・昇格運用のためです。
④仮格付けです。各等級の目安年齢に応じた基本給の能力給割合を確認し、モデル基本給及びモデル所定内給与で、実在者との整合性を検証。その上で、各人を現行給与から新しい年齢給、能力給、手当にあてはめ、等級の仮格付けをします。
最後に、⑤改定時における昇給原資を予算化します。基本給から年齢給を控除し、残りが能力給。改定は昇給時ですから、きちんと予算化し、個々の給与は下げず、等級は仮です。改定後、次回昇給時に、新たに実践される人事考課で正式に等級が決定されることになります。

石田 仁(豊島支部)

協同組合 DDK
経営労務コンサルタント・社労士

TEL.03-3980-8298
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