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経営者Q&A

民法改正によって保証人制度のルールが変わります(2019年2月)

Q

これまでの保証人制度は,どこが問題だったのですか。

A

経営者の知人や親族等の個人が,「絶対に迷惑をかけないから」などと頼まれて,情義的 な理由により保証人になり(多くは「連帯保証」です。),主債務者が行き詰まった結果,保証人が多額の債務を負い,破産を強いられるという事態 が生じていたことが問題視されていました。
こういった事態を少しでも減らすために,個人の保証人保護を拡大する方向での改正が行われました。平成16 年にも商工ローンの保証問題を背景として,貸金等債務について一部改正が行われま したが,今回は貸金等債務に限らず,より広い範囲で改正が行われました。

Q

今回の改正によって,保証人制度のルールはどう変わりますか。

A

(1)個人が,一定の範囲で将来発生する不特定の債務について保証人になる場合(「根保証」といいます。賃貸借契約や継続的売買取引の保証等がこれに該当します。)には,極度額(上限額)を定めなければなりません。極度額(上限額)の定めのない根保証契約は無効となります。
(2)事業用の融資について,事業に関与していない第三者(※)が個人で保証人になる場合には,保証契約に先立って(契約締結前1 か月以内に),公証人による保証意思の確認手続を行って,保証意思宣明公正証書を作成する必要があります。
この手続が行われていない保証契約は無効となります。
※会社の取締役や法人の理事,議決権の過半数を有する株主等は,事業に関与し得る立場にあるため,除外されています。
(3)個人に対して,事業上の債務の保証人になるよう委託する場合には,主債務者は,自らの,①財産や収支の状況,②主債務以外の債務の金額や履行状況等,③担保の内容等について情報提供を行わなければなりません。このような情報提供が行われず,それを債権者も認識可能であった場合には,保証人は保証契約を取り消すことができます。
(4)個人・法人を問わず,保証人は,債権者に対して,主債務者の履行状況等に関する情報の提供を求めることができます。
(5)個人が保証人の場合には,主債務者が期限の利益を喪失した場合には,債権者は,保証人に対して,2 か月以内に通知しなければなりません。

Q

新たな保証人制度のルールは,いつから適用されますか。

A

改正民法の施行日は2020 年4 月1 日とされていますが,その日より後に締結される保証契約については改正民法が適用されます。

長谷川 研吾(千代田支部)

HSG法律事務所
弁護士

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