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経営者Q&A

有期雇用者の離職理由をめぐるトラブル(2018年9月)

Q

契約期間の途中で本人の都合で退職表明してきた者がいます。会社としては自己都合として離職証明書を発行するつもりですが、従業員の方は「途中で勤務時間を変えられたのは苦痛だった。だから会社都合による離職だ」と主張しています。こうした場合、どのように解決するのでしょうか。

A

離職理由がいわゆる会社都合か自己都合かは、失業等給付(基本手当)の給付日数の違いだけでなく、3ヵ月の給付制限期間のあるなしという問題もあるので、離職理由をめ ぐるトラブルが多くなっています。「途中で勤務時間を変えられた」というのはどういう事情でしょうか。その際、きちんと雇用契約書を結びなおしていますか。

Q

従業員間の人間関係上のトラブルがあり、本人の希望により勤務場所と勤務時間を変更したのです。雇用契約書は結びなおしていません。

A

離職証明書の離職理由欄に従業員の同意は得られないと思いますので、同意のないままハローワークに提出するしかありません。離職理由の判定のためハローワークから経過等の問い合わせがあるはずです。その際に、労働条件の変更に伴う雇用契約書があるかどうかは重要な判定要素となると思いますので、今後の労務管理においては気を付けた方が良いでしょう。

Q

労働契約法第18 条に基づき、有期雇用が5年を超える場合に、従業員に無期転換申込権が発生することになりました。有期雇用期間が5年になる前に更新期間を短縮するとどうなりますか。

A

労働契約法第18条とは、平成25年4月1日以降に締結又は更新した有期雇用契約が、更新の結果5年を超えるに至った場合において、労働者に無期雇用への転換を申し込む 権利が発生し、労働者がその権利を行使した場合、使用者はそれを承諾したものとみなすという条文です。5年を超えるとは、平成30年4月以降の更新時のことです。最近、5年に達す る前に雇止めしたり、当初の契約になかった契約更新回数や契約期間の上限を新たに設定するなどを行うケースがあります。こうした状況への対応のため雇用保険法施行規則第7条が改正 され、平成30 年3月30 日付で施行されました。 今回の改正では次のような項目が追加され、「上限新設」「上限短縮」等による離職の場合も特定受給資格者(いわゆる「会社都合」のこと) として扱うとされています。

  • 当初の契約締結後に契約期間や更新回数の上限を短縮し、その上限到来による離職に該当「する」「しない」
  • 当初の契約締結後に契約期間や更新回数の上限を設け、その上限到来による離職に該当「する」「しない」
  • 定年後の再雇用時にあらかじめ定められた雇用期限到来による離職で「ある」「ない」

有期労働契約を締結する際には、契約当初に、通算契約期間の上限を設けるのか設けないのかなど細部にわたって決めておくことが重要です。

鎌田 勝典(中央区支部)

社会保険労務士法人オフィス・サポート
特定社会保険労務士・行政書士

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