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経営者Q&A

経営指針を社内に浸透させるにはどうすれば(1999年5月)

Q

経営指針を一年前につくりました。その時は盛大な発表会をやり、毎日朝礼で読み上げたりもしています。しかし社員はどちらかというと”上の空”ですし、反発する空気さえ感じます。

A

そういうケースはよくあるようですね。たしかに、せっかくつくった経営指針なのに社員が反発するのでは逆効果ということになりかねませんね。

Q

何かすぐに役立つ対症療法はないでしょうか?

A

経営指針が浸透しない原因は、会社によりやり方により、千差万別ですから、ズバリの対症療法はなかなか困難ですが、原因を大きく二つくらいに分けて考えてみましょう。その一つは、経営指針の作成が社長やごく一部の役員だけでやられている、つまり作成の過程で従業員の意見が全然反映されていない場合です。こうなると従業員は「わけのわからない」ものを上から一方的に押しつけられたという感じを持ってしまいがちです。次の指針作成からその点を変える工夫が必要ですが、現在の指針については特段の親切な説明と、従業員の意見を反映する場づくりが必要でしょうね。

Q

場づくりというのは具体的にいえばどういうことでしょうか。いまでも朝礼や会議で、けっこう口がすっぱくなるくらい「経営指針」について説明しているつもりなんですが……。何か特別な方法でも?

A

そこで第二の原因ですが、会社の仕事の忙しさにまぎれて、トップから一般の社員にいたるまで「いまやっている日常の仕事」が経営指針とどこでかかわっているのかを見失いがちになることがよくあります。

経営指針は、経営理念→経営戦略→中期経営計画→年度経営計画→部門方針→個人目標→実行というプロセスの総合体ですから、たえず現在の仕事をこのプロセスと照応させて説明し位置づける作業を意識的に行う必要があります。そこではじめて従業員は日常の仕事のなかで経営指針を生きいきと実践することができるのではないでしょうか。「目標による管理」もそのための有力な手法ですね。

Q

なるほど、日常の業務のなかに経営指針を位置づけるということですね。経営理念についてもそういうやり方で浸透させるのでしょうか。

A

そうですね。経営理念というのは社業の基本 べつの角度からいえば「すべての業務の価値判断基準」、つまりやって良いことと悪いことの物差しといえます。ですから社員が自分である判断をするとき「経営理念に照らしてどうか」を基準にすることを習慣づける必要があるのです。そのことが「自立的社員」を育て、その集団である自立的・創造的企業をつくることにつながります。新しい社風づくりという観点でぜひ粘り強く取り組んでください。

藤原事務所 藤原 弘(千代田支部)
TEL 03-3812-8631

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