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経営者Q&A

給与体系を変えたいが?(2017年5月)

Q

社員が20名に増え、毎年の賃金管理が難しくなってきました。専務である息子にできる仕組みにしたいと考えています。何か良い方法があれば教えて下さい。

A

これまでは、オーナーである社長が社 員の経験、技術、能力等を総合的に勘案して決めてきました。だから、社員に多少の不平不満があっても通用してきたのです。
お話では貴社の給与体系は多くの中小企業でみられる①[基本給+諸手当=所定内給与]タイプです。年齢や勤続が高まれば、生活給としての基本給が大きくなる傾向です。さじ加減は「どんぶり」です。其々の仕事振りや貢献度の差は諸手当で強弱をつけています。例えば、営業、職務、調整手当の名目で差をつける方法です。
代替方法として、②[(年齢給+職務能力給)+諸手当=所定内給与]タイプがあります。これは、基本給に相当する部分を年齢給と職務能力給の2本立てにする仕組みです。特徴は明瞭化と運用のし易さです。実績から、職務や調整手当を一部基本給に組み入れることで、基本給水準を引き上げます。そして、例えば年齢給対職務能力給の割合を全体として6対4程度(年齢別による割合は変える)に確保できれば、年齢給は、賃金テーブルにすることができます。ただし、50歳前後で昇給は停止。1歳当たりの差は会社の成長性や毎年の昇給額に影響しますから、最低昇給額が望ましい。年齢により変化をつけます。若年は大きく、高年は低く、500円〜2000円前後ではないでしょうか。もう一つの職務能力給の方は賃金表にするのは避けましょう。範囲給にし、複数人の人事考課で決めるべきです。賃金表を作るのは、大企業や生産性が高い会社のやり方です。毎年の昇給額が小さく、中途採用者が多い中小では職務能力給の賃金表は運用が難しい。ただ、部門別に各人がどれだけのレベルの仕事ができるかは文章で明示しておく必要があります。同期のAは営業の2級、Bは3級と判定し、昇給や昇格につなげるのが人事考課です。昇給にリンクしなくても、営業2級と3級の違いを文章化することは、目当てとして、今後の指導改善には不可欠な基準です。
これからルールに則った決定を行うには、②タイプを導入し、年齢給表と職務能力給の範囲を決め、能力の基準となるレベル表を作成します。最後は本人との面談を通じ、人事考課で賃金を決定していく方法を一考して下さい。

石田 仁(豊島支部)
協同組合 DDK
専務理事・経営労務コンサルタント

TEL.03-3980-8298
FAX.03-3980-8380
E-mail : ishida@ddk.or.jp
HP : http://www.ddk.or.jp

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