タイトルアイコン

経営者Q&A

在宅勤務制度の留意点(2017年1月)

Q

在宅勤務制度を導入したいのですが、注意すべき点はありますか。

A
在宅で仕事をする場合には、大きく分け て二つの形式があります。
 一つは請負契約で仕事をしてもらう「在宅ワーク型」です。この場合は在宅ワーカーと見積書 や発注書等を取り交わした上で、業務請負契約 を結ぶ事になります。
 在宅ワーカーは、他の会社からも仕事を受注できますし、他人を使用してもよく、仕事に使う機材も原則としては自前で用意します。発注側の会社は作業内容については具体的な指示命令をすることが出来ません。
 当然対価は、給与ではなく、外注費として支払う事になります。
 もう一つは雇用契約を結んで仕事をしてもら う「在宅勤務型」です。
 在宅勤務の場合は、①在宅勤務の異動命令について、②労働時間の把握方法、③賃金制度、 ④通信費の取扱い、⑤出社の義務、などの項目について、きちんと就業規則に定めておき、開 始の際には本人と雇用契約書や辞令等で確認することが必要です。 各項目について検討してみます。
①すでに会社の事業所で働いている社員さんを 在宅勤務にする場合には、「異動(配置転換)」 となります。異動には就業規則に根拠が必要です。また、トラブルを避けるためにも、本人の同意を得るようにしましょう。
②在宅勤務における労働時間の把握方法については、自宅での勤務であり、インターネット等常時通信可能ではない場合、かつ業務についての具体的な指示命令を行わない場合には、みなし労働時間制を導入することも可能です。
 一方、ITの活用により業務時間の把握が 容易な場合や、電話やインターネットを利用して細かな指示を行っている場合などには、労働時間を正確に管理する必要があります。ま た、業務時間をある程度設定し、業務日報等を提出してもらうことで、労働時間を管理するケースもあります。
 なお、残業を削減し、深夜労働をしないこと、 休憩や休日を取ることなど、過重な労働を避 けるための指導を行ったほうが良いでしょう。
③在宅勤務者は人事評価が難しくなります。業績・ 成果給や出来高給を含め、評価方法については事前に検討しておいた方が良いでしょう。
④業務で利用するパソコンや、インターネット等 通信費の取り扱いも定めておきましょう。会社で全額を負担するのであれば、私的な利用 については制限が必要でしょうし、社員の私物を利用する場合には、会社と本人との負担 割合を定める必要があるでしょう。併せてセキュリティについても慎重な対応が必要です。
⑤在宅勤務とはいえ、会議への出席や報告等のため、会社に出社してもらう必要も出て来る でしょう。出社の義務についても、就業規則や、 雇用契約書等で本人と確認をしておく必要が あります。
 昨今、採用が難しい情勢が続いている中で柔軟な働き方に対応し、多様な人材を活用するため、社内環境をしっかりと整える必要があるで しょう。

藤浦 隆英(江戸川支部)
レイバーセクション 特定社労士

TEL.03-3869-8459
Webサイト:レイバーセクション[検索]

戻るボタン
経営を磨きたい 経営の相談をしたい 交流したい 人を採用したい