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経営者Q&A

利益がでても、なぜかお金が増えない(2014年12月)

Q

利益が出ていても思ったほどお金が増えないのですが?

A
まず、おさらいです。利益はどのように計算されるでしょうか?売上から費用を引いた、その残りが利益です。この利益は、税金なども差し引かれているので最終的に残った残余利益になります。では、この利益の金額が手残りのお金として残った、と言えるでしょうか?そうではありません。利益は「費用を支払わなかった残り」ですが、お金を支払うのは費用だけではないからです。
 他に、お金はいつ支払うでしょう?例えば、借入金の返済です。これは費用にはなりません。ただ借りたモノを返すだけです。それから、設備などの固定資産を購入した時も費用にはなりません。または、損害保険など長期間で多額の契約を締結した時にも費用にはなりません。(厳密に言うと、償却費などで一部は費用になりますが、お金としては多額に支払うので費用にならない金額の方がとても多くなります。)
特に、建物や工場など大規模の固定資産を購入した場合にはお金として多額の支払いが発生するため、それまでどれだけ利益を積み増していても、とてもお金が足りなくなる場合が起こります。その場合には金融機関などから借入金をする訳です。固定資産の購入などを「投資」、借り入れなどを「財務」と言ったりします。お金は費用以外に「投資」や「財務」の返済などにも支払われるため、お金は減ってしまう傾向にあります。
 またそれだけではありません。売上-費用=利益でしたが、売上=入金回収、費用=支払い、とは限らないということです。100%現金商売でない限り、請求書を発行して末締めの○○日払いといった、売掛金や買掛金というものが発生すると思います。その場合には、売上-費用=利益と、入金回収-支払い=お金、の金額は違ってきます。タイミングのズレだけではあるのですが、このタイミングを誤って、例えば、「入金が2ヶ月後、支払いは翌月末にキッチリと」みたいなことになると企業の死活問題にもなります。
 そして、入金回収が多ければお金は増えますし、支払いが多ければお金は減ります。それらの多寡は、売上や費用の状況に応じて変わってきます。例えば、前年に売上がとても好調だった場合は入金回収も増加しますが、通常、翌年には入金回収は減ります(売上が何年も好調続きであれば別ですが)。
 ですので、利益はあっても、入金回収が遅れ、支払いが先行すれば、お金は減ることになります。
 このようにお金と利益の間には複雑な関係があります。ただ明確に言えることは、利益が無ければお金は増えないということです。赤字では絶対にお金は増えません。そして、毎年、同じような利益額では期待するようにお金は増えません。利益を出しつつ期待するようなお金を残すには、利益を「より増やし続ける」ことが重要です。そのためには「投資」が不可欠となります。

前田 和宏(中央区支部)
株式会社 銀座みらい会計
代表取締役

TEL.03-5799-6056
E-mail : maeda@biz-straight.com

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