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経営者Q&A

社員承継の要諦(2013年6月)

Q

私一代でつくった会社なのですが、子供がいないので社員に継がせたいと思います。考えておくべき点はどのようなことでしょうか。

A

(1)まず社員と経営者とでは心構えが全く異なります。経営者になりたいという心構えを持てる者を見つけ出す必要があります。いくら有能でも、本人の意欲や覚悟がなければなりません。この確認には慎重を要します。
次に、その者に経営者の感覚と能力を身につけさせる教育が必要ですが、これは社長一人では難しいので、社外の様々な機会を活用されるといいでしょう。
(2)承継実行段階での法的な重要ポイントは3 点あります。
第1点は、経営権つまり支配権を新経営者にしっかり譲り渡すことです。
子供のいない社長は、よく民主的経営とか全員参加型経営などの理念で、幹部や社員に広く株を持たせている場合がありますが、創業社長の時代は支障が生じなくても、2代目になると経営方針などで一本化できない事態が起こったりします。
株は、財産的価値であるとともに、会社運営上の決議権という支配権、すなわち経営権そのものの持分でもあります。
創業社長に対しては行使しなかったその権利を、2代目社長に対しては 行使する者が現れやすいのです。
したがって、次期社長になる者には株式を集中させる必要があります。その比率は、特別決議要件である3分の2以上、すなわち67%以上を持たせることが理想です。
(3)そこから、第2の問題点、次期経営者となる者に、この株式買取り能力を付与する必要が生じてきます。自分の所有株式をただ贈与するのでは、たいへんな贈与税となります。
一度退職して役員就任させるなどの方法で、退職金を支払って買取らせるとか、株価を買取り可能な評価額にうまく納めるなど、税理士と相談してよい方法を工夫することです。
(4)第3点として、個人保証の問題があります。中小企業は銀行に対して代表者の個人保証を避けるわけにはいきません。ところが会社の借入れは、個人の借入れとはケタが違います。通常の社員では、この保証を引継ぐだけの信用力も度胸も持っていないのが普通です。仮に本人が引受けても、家族が受け入れない場合が多いのです。
その為、保証債務は極力小さくしておくか、会社の経常利益で無理なく返せる範囲としておくか、あるいは借入金に見合うだけの社内留保を作っておくなどの準備が必要になります。
(5)以上のような問題をクリアした上で、最後に新社長の社内受け入れ問題があります。なにしろ創業社長と異なり、お互いライバル関係にあった社員の中から社長になるのですから、感情的には複雑なものが生じやすいのです。
社員全員が抵抗なく次期社長として受け入れ、盛り立ててくれるような舞台装置づくりは、社員承継をする現経営者の仕事です。

原口 紘一(三多摩支部)
原口法律事務所
弁護士
TEL. 03-3361-9633
FAX. 03-3369-6664
E-mail : haragchi@f7.dion.ne.jp

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