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経営者Q&A

出張移動中は労働時間か?(2013年5月)

Q

出張の移動中も拘束されているので、労働時間としてカウントしてほしいと社員から言われました。帰りの新幹線でビールを飲んでいるのに…、どうも納得できません。

A

一口に出張の移動と言っても、いくつかのパターンがあり、それぞれについて検討する必要があります。
自宅から出張先に直接移動する場合は、日常の出勤(通勤)と同様のものであり、労働時間ではないと言えます。翌日の出張に備え、休日である前日に移動を行う場合でも、労働時間ではありませんので休日労働とはなりません。
また、会社から出張先に移動する場合であっても、この移動時間になんらかの業務を行うよう指示をしていないのであれば、社員の自由に利用できる時間ですから、休憩時間と同様に労働時間ではないと考えるのが一般的です。
しかし、移動時間に行うべき業務を指示している場合や、物品の輸送を命じている場合には、労働時間となる場合がありますので、注意が必要です。例えば、急に出張先に資材等を運ばなければならなくなったため出張を命ずる場合などは、労働時間となります。運送業の運転手のように、物品の運搬自体が業務になると考えられるからです。
では、日帰り出張の場合はどうでしょうか。
朝会社に出社し、出張先に移動、その後会社に報告に戻るような場合には、出社から退社までの時間を労働時間として計算することになります。ただ、出張先に直行、または出張先から直帰するような場合で、その社員の労働時間の把握が困難なときには、「みなし労働時間制」を使うことになります。
みなし労働時間制とは、営業の外回りなどで労働時間を算定しがたいときは、所定労働時間労働したものとみなす制度です。つまり、日帰り出張で労働時間の把握が困難なときは、原則として所定労働時間働いたものとみなす事ができます。ただし、通常その業務を遂行するために必要な時間が所定労働時間を超えると考えられる場合には、通常必要とされる時間働いたものとみなします。この「通常必要な時間」については労使協定等で定めることができます。
ご質問にあるとおり、帰りの新幹線でビールを飲んでいるような時間は、労働時間とは言えませんので、お給料に入れる必要はありません。
社員の納得と協力が得られるように、はっきり説明するとともに、慰労や諸雑費の補填の意味合いで出張手当(日当)を支給してはいかがでしょう。

藤浦 隆則(江戸川支部)
レイバーセクション 所長
特定社会保険労務士
TEL.03-3869-8459
Webサイト:レイバーセクションで【検索】

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