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経営者Q&A

金融円滑化法の来年3月の期限切れを前にして(2012年12月)

Q

金融円滑化法の延長期限が来年の3 月に迫っています。中小企業にはどんな影響が出てくると思いますか。

A

金融庁としては、金融機関が貸付条件の変更や円滑な資金供給に努めるべきであると考えており、円滑化法の期限到来後においてもこの点は変わらないとし、今後は、金融機関が個々の借り手の経営改善に具体的にどのように密着して取り組んでいるのかについて従来以上にこの点に光を当てて検査、監督を行う、と言っいます。

Q

ところで、実際のところ現状はどうなんですか。

A

金融庁の7 月19 日付の発表によりますと申込み数3,133,742、実行2,893,387、実行率92.3%、実行債権額79 兆7,501 億円となっています。会社数(事業所数)は発表されていませんが、30 万社から40 万社であろうと言われています。

Q

そうですか、今後はどのようなことが問われていくと思いますか。

A

一つは、政策的、行政的支援の届かない膨大な小規模企業の事業再生の問題です。「非効率な企業を淘汰し、効率的な企業にヒト、モノ、カネを投下して経済を活性化しなければならない」という市場の論理からすればそれはそれでごもっともなのですが、私の現場での体験に基づけば、小企業であっても「光る何か」が今でも消え失せていないところが決して少なくありません。一部金融機関では「この光る」何かに焦点をあてて、事業再生の専門的手法を駆使して、その地域の小規模企業の再生を推進してきています。このような取り組みを普及させることが出来るかどうか、これが一つの問題です。
もう一つは、中小企業側の問題ですね。経営者は法律があろうがなかろうが、事業に必要な利益、キャッシュフローを安定して創出できるようにすることが仕事です。中小企業の事業再生に関して、私の体験から言わせて頂ければ現下の課題は次の三つです。  一つは、決断です。事業の再生は時として痛みを伴うものです。これに断を下せるのは社長しかいません。二つは、競争優位を何で作り出すのかをハッキリさせる。「コスト集中」なのか「差別化集中」なのか。おそらく現実は「コスト集中」戦略から「コスト優位」で一歩抜け出すことが当面の戦略課題だと思います。三つには、役員、経営幹部、社員が一丸となれるかどうか。特に改革を推進するときに必ず生じる抵抗を如何に乗り越えていくか。ここでも社長の決断が重要になります。

渡辺 正幸
有限会社彩経営コンサルタント事務所
中小企業診断士・企業再生コンサルタン
TEL.04-2949-8931
E-mail : sai@firm.email.ne.jp

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