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経営者Q&A

労働時間とは(2012年9月)

Q

労働時間と残業時間について知りたいのですが。

A

労働時間は、労働基準法第32 条で1週間40時間、及び1日8時間(休憩時間を除く)と定められています。これを法定労働時間といいます。
このため、各事業場では、この法定労働時間内で始業、終業時刻及び休憩時間等を就業規則等で定めています。この始業時刻から終業時刻までの時間(休憩時間を除く)を所定労働時間といいます。また、所定労働時間は法定労働時間の範囲内であれば自由に定めることができます。
最近、問題視されている賃金不払い残業は、この所定労働時間を超えた残業時間が対象となります。
この残業時間は、法定労働時間内の残業(法内残業)と法定労働時間を超える残業(法外残業)に分けられます。法外残業とは、原則1日8時間越えの時間、また1週間で40時間越えの時間です。
まず、法内残業は、原則通常の労働時間の賃金を支払えば足りることです。ただし、就業規則等によって、その時間に対しても割増賃金を支払う等が定められている場合は、割増賃金を支払う必要があります。
また、法外残業については、通常の労働時間の賃金に一定の割増率で計算した割増賃金を上乗せして支払うこととなります。(労働基準法第37 条)
では、法定労働時間を超えて従業員が働く場合は、どのような手続きが必要でしょうか。
労働基準法第36 条では、労使間で書面による協定を結び、労働基準監督署長に届出る必要があります。この協定は36(サブロク)協定で、職場の従業員の過半数を代表する者または労働組合と会社が締結します。この手続きを踏むことで法定労働時間超えの労働及び休日の労働が労働基準法違反に問われません。36 協定の締結と届出の他に、従業員が時間外労働を行うためには就業規則等に業務上の必要の基づき、時間外・休日労働を命ずることがある旨の規定を設ける必要もあります。
また、従業員の健康保持の観点から「時間外労働の限度に関する基準(平成10 年労働省告示第154 号)」により時間外労働の上限時間が定められています。これは、過労死と残業時間の相関関係が認められたことから月間の時間外・休日時間が45 時間を超えた場合の「過重労働による健康障害防止の総合対策について」に活かされています。そして平成16 年4 月には、限度時間を超えて時間外労働を行う場合の「特別条項付き協定」の特別の事情は、臨時的なものに限ることを明確にした改正もありました。なお、36 協定の限度時間を定めた場合、限度時間を超えると法違反となり注意が必要です。

増田 幸三(中央区支部)
マスダ人事労務管理事務所
所長・特定社会保険労務士
TEL.03-6280-5207

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