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経営者Q&A

等価交換方式マンション購入に際しての注意点(2012年6月)

Q

将来近所に売り出し中のマンションを購入することを検討しています。販売業者から「等価交換方式」との説明がありました。特に注意するべき点があったら教えてください。

A

1.等価交換方式マンションとは、マンション業者がマンション用地を土地所有者から取得するに当たり、購入代金を支払う替わりに完成したマンションの何室かを提供する形で支払う方式のことです。

土地所有は、業者から提供を受けた部屋の一室に入居し、その他の部屋を賃貸に回すことが多いようです。現在等価交換方式はマンション業者にとってメリットがあまりないといわれており減少しているようです。
この等価交換方式マンションは、40から50戸以下の比較的小規模なマンションにおいて特有の問題が生じる可能性があります。

2.等価交換方式マンションの問題点

(1) 元土地所有者とマンション業者との間で不透明な合意が存在する場合があります。
例えば、①マンション敷地に隣接して元土地所有者の土地がある場合、自転車置き場やマンション住人のための駐車場などの名目で法外な使用料を払う合意がある。②元土地所有の部屋のうち何戸かの管理費・修繕積立金を安くしたり、支払いを免除する合意があるといった例があります。

(2) 元土地所有者の意向で管理組合の意思決定が行われる場合が見受けられます。
小規模マンションの場合、元土地所有者が全体の1/3ほどの戸数を所有している場合、元土地所有者の意向で管理組合の意思決定を行えることになりかねません。これでは、管理組合の組合員の意見が反映されず非民主的な運営となってしまいます。

3.等価交換方式マンションを購入する場合の注意点。
元土地所有者を優遇する合意や、管理費等の免除の合意には合理性があるとは考えられませんが、おかしな状況を管理組合の中で是正しようとしても、なかなかハードルが高いと思われます。調停や訴訟をして現状を変えることも考えられますが、一人で行動するのは大変ですし、賛同者がいても、時間と労力と費用がかかることになります。
そこで、等価交換方式のマンションを購入するに当たっては、マンション業者と元土地所有者との間での不透明な合意の有無、元土地所有者の所有戸数(持分)などを確認する必要があります。また、マンション業者の実績や評判等もしっかり調べる必要があります。

4.元土地所有者の立場から考えると、不透明な合意などをすることはメリットがありそうですが、長い目で見ると他の組合員との紛争を招いたり、大規模修繕計画が実現できない事態になるリスクがあります。結局自分の大切な資産であるマンションの価値が大幅に低下することにもなるので元土地所有者の良識ある対応も期待したいです。

太田 茂(板橋支部)
パートナーズ法律事務所
弁護士
TEL.03-5911-3216
FAX.03-5911-3217

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