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経営者Q&A

社長より優秀な部下を、たくさん育てよう(2011年5月)

Q

社員20名の建設関連企業です。経営者としての私は既に60歳を過ぎましたが、仕事に関する技術は、社員全てに手取り足取りで教え込み、世間的には一人前の職人に仕上げたと自負しています。それなのに社員は使われている人間だから、それ以上踏み込む必要がないと割り切っているようで、積極性が乏しく、全て私が指図しなければ会社が回らないと云う状況です。

A

確かに今の若者の一つのパターンといえるかも知れませんが、こと組織の中の上司と部下の関係で見るなら、経営者である貴方が、一定の水準に達した部下の能力を引き出すことをせず、いつまでも、ああせい、こうせいということで結果的に、そうした何も考えないで、云われたことだけをやるハイハイ人間を作り上げてしまった面もあるかもしれません。
経営者としては、部下がある程度の能力段階に達したところで、部下を「指示、命令」で動かすことから、「部下の能力をどれだけ引き出すか」というスタンスに切り替えることが必要です。この切り替えのタイミングを誤ると、もっと戦力となるべき社員をいつまでも低いレベルでしか使う事が出来ないと云うことになってしまうのです。今からでも貴方は社員の力量に応じて、部下に仕事を任せる方向に舵を切ることをお勧めします。

Q

お客様から仕事を請けている以上、下手に手を抜いて結果的に迷惑を掛けることになることはしたくないと思いますが。

A

部下にも熟練したベテランと、熟練を目指している熱心な若者がいると思います。ベテランには報・連・相をしっかり実行することを前提に「一切を任せる」。途中で細かいことで口を出さない、困ったことがあれば自分で解決策を考えさせる。また、熟練工を目指している若者の人には、「部分」を任せる。任せた領域については、その人の力量に応じて自由に仕事をさせ、この場合も一切口を挟まない。困ったことが生じたら自分で考えて処理すること。この様にして部下に「任せた」場合、経営者としては、つい口を挟みたくなる場合もあるが、じっと我慢して見ているのがよい。むしろ仕事の完成した時に「よくやった」と大いに褒めてやって当人に自信を持たせることが第一に必要であり、これが後に連がって職場の活性化に有効に作用する事になるのです。

Q

私は今まで経営者として人には負けないと自負していましたが、駄目な指揮官だったのかなと、はじめて気付きました。

A

松下幸之助さんが部下の事業部長に「貴方には尊敬できる部下が何人いますか」と聞いた処、その事業部長は「一人もいません。やる気のない者ばかりで、とても尊敬なんか出来ません」と答えました。すると幸之助さんは「それはいけませんね。どんな部下にでも『彼は俺より説得力がある』『彼のアイディアの豊富さにはとてもかなわない』『彼は俺より仕事ができる』と云う人間が必ずいるものだ。それを見つけて伸ばしてやるのが貴方の仕事ではありませんか、あなたの事業部が伸びないのは、貴方が部下を育てていないからではないですか」と、こんこんと諭したそうです。
どんなに仕事が出来る上司であっても、部下が上司より出来ない人ばかりだったら、その会社は発展しません。上司より優秀な部下がいるからこそ会社の将来性があるのです。自分より優秀な部下を沢山育てて会社を発展させましょう。

加藤奏治(練馬支部)
㈲加藤改善相談室・中小企業診断士
TEL.03‐3925‐6811
FAX.03‐3925‐6766
Mail:so-kato@msj.biglobe.ne.jp

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