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経営者Q&A

パート労働者の扶養の範囲について(2009年10月)

Q

パートさんから「扶養の範囲内で働きたい」と言われました。何か注意することはありますか。

A

扶養の基準は、「社会保険(健康保険・厚生年金保険)の130万円」と「税金の課税基準の103万円(所得税の場合、住民税は異なります)」の二つがあります。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、強制加入の有無と年収基準があります。
法人事業所に勤め、「1日または1週間の所定労働時間が、正社員の概ね4分の3以上あり、かつ、1ヵ月の所定労働日数が、正社員の概ね4分の3以上」あるパート労働者(妻)が強制加入となります。
たとえば、正社員の勤務時間が、1週間40時間(1日8時間)で1ヵ月の勤務日数が20日であれば、パート労働者(妻)は、1週間30時間で1ヵ月の勤務日数が15日以上の両要件に該当する人が対象となります。
従って、「1日または1週間の所定労働時間と1ヵ月の所定労働日数のどちらか一方で正社員の4分の3未満」で働くことが第1の要件です。
次にパート労働者(妻)の年収基準により対応が異なります。
(1)年収が130万円未満の場合
国民年金や健康保険は、配偶者(夫)が被用者保険(組合健保、協会けんぽ等)に加入していれば、配偶者の扶養となりパート労働者(妻)が自分で保険料を支払う必要はありません。健康保険の被扶養者に該当すれば、国民年金の第3号被保険者となります。また、配偶者が被用者保険の適用外の場合は、自分で国民健康保険および国民年金に加入し保険料を支払う必要があります((2)と同じです)。
(2)年収が130万円以上の場合
国民年金や健康保険は、配偶者(夫)の扶養からはずれることとなり、パート労働者(妻)が、自分で国民健康保険および国民年金に加入し保険料を支払うこととなります。手続きは、自分で区役所や市町村の国民年金課と国民健康保険課へ出向くことになります。
従って、130万円未満で働くことが第2の要件です。
また、社会保険の強制加入の要件が、正社員の4分の3から2分の1等へ拡大される動きもありますので、今後の動向を充分注視する必要があります。
次に、税金の課税基準は、パート労働者(妻)の年収によって異なります。
(1)年収100万円以下の場合
所得税も住民税も課税されません(住民税の均等割は除きます)。
(2)年収100万円超103万円以下の場合
所得税は課税されませんが、住民税は課税されます。
(3)年収103万円を超える場合
所得税も住民税も課税されます。
住民税の均等割については、課税対象者には、一律の額(標準税額は年額4,000円)が課税されますが、詳しくは区役所や市町村等へお問い合わせ下さい。
従って、所得税では103万円以下、住民税では100万円以下が非課税対象となります。

増田 幸三(中央区支部)
マスダ人事労務管理事務所
所長・特定社会保険労務士
TEL.03-6280-5207

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