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経営者Q&A

割増賃金の端数部分のカットは認められるか(2008年2月)

Q

当社は、賃金計算が繁雑になるので、30分未満の時間外労働には割増賃金を支払っていません。また賃金計算を簡便にするため30分単位で四捨五入をしていますが許されますか。

A

実労働時間を切捨てることは許されませんし、法定労働時間を越える労働に対してはたとえ1分でも割増賃金の支払が必要です。
実際に労働させているにもかかわらず、その労働に対して対価を支払わないことは労働基準法の賃金の全額払いの原則及び割増賃金の支払義務に違反することとなります。
また、時間外労働等の時間数の把握については、厳密に行うことが求められています。厚生労働省通達(労働時間適正把握基準)では、使用者が労働日ごとの始業・終業時刻を自ら確認・記録すること(3年間保存義務)など労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかであるとされています。
一方、割増賃金の計算に当たっての端数処理については、1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合に四捨五入することが認められています。また、1か月における時間外、休日又は深夜の総労働時間数に1時間未満の端数がある場合に、30分未満は切捨て、30分以上は切上げることが事務の簡便化より認められています。
しかし、日々の時間外労働時間等の時間数を30分単位(一定の単位:10分、15分単位等)で切捨て・切上げることは認められていません。
ただし、実際の時間外労働の時間数を切り上げて計算するのであれば、労働基準法で定めた最低基準を上回る水準となることから認められています。
また、1日1時間以上の残業をした場合に限って残業と認め残業手当を支払うことも、労働基準法に法定時間外労働に対しては25%以上50%以下の割増賃金の支払いが義務付けられており賃金不払いとして法違反となります。なお、法定労働時間内である限り所定労働時間外に労働させても原則通常の労働時間の賃金を支払えば法違反となりません。

 

増田 幸三(中央区支部)
マスダ人事労務管理事務所
社会保険労務士
TEL.03‐3272‐2815

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