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経営者Q&A

「5S」のできる企業は何でもできる(2005年9月)

Q

バブル崩壊後の不況の中で、生き残りのために人員面でもスリム化を進めてきました。最近工場、オフィスが何となく汚く、ほこりっぽい、物の置き方が乱雑などだらしなさを感じています。昔ならカミナリを落とすところですが、これも人手の足りないゆえかと我慢してますが…。

A

事業場内が締まりがなくなった状態が想像されます。仕方がないと我慢することはないでしょう。ただし昔のようにカミナリを落とすと反発が先に立ってうまくいきません。ここは強制ではなく、5Sのように組織の風土を変える活動に取り組まれることをお勧めしたいと思います。

Q

5Sのことは昔聞いたことがありますが、掃除など、ごく当たり前のことをやるだけで組織の風土を変えることができるのですか?

A

5S活動は、清潔を尊ぶ勤勉な日本人の心をベースに、いわゆる「お掃除」を近代的な経営管理システムに乗せようとするもので、経営者の「率先垂範」により社員の「全員参加」を巻き起こそうとする活動です。
職場の中に雑然と置かれているものを必要なものと不要なものに区分したうえで、不要なものを捨て(整理)、残った必要なものは、誰にでもわかり、取れて、戻せるように場所と位置を決めて、いつも定まった数量を置く(整頓)。その後はチリやゴミを掃き、拭き、磨いてピカピカにします(清掃)。これを毎日繰り返し実行することで美しく衛生的な職場を維持する(清潔)のです。このことはやがて、人々の習慣となり、これをやらないと落ち着かない、何となく不自然と感ずるぐらい定着化(しつけ)していきます。
以上のプロセスの整理、整頓、清掃、清潔、しつけの5段階が全て頭文字がSで始まることで5Sといわれるのはご承知の通りです。もちろん、5Sは強制によってやらせるのでなく、理解と納得の上に立って社内に仕組みを作り、その仕組みの中で社員の自主性と創意工夫を100%活用して進めていくことが前提になりますが、このように進めていくにつれて、社内のモラールが上がり、全てに積極的で前向きの人間が多くなり、職場の風土が変わってくるのです。

Q

効果のある5S活動ならば当社としてぜひ導入したい。どうすればよいですか?

A

実際に5S活動を社内に展開するには、次の3つの段階があります。
1、「意識づくり」。いま、5Sを実行することが会社にとっていかに重要か、どんな効果をねらうのか、社員にはどのような役割を期待するのか、などを熱く語り、全員参加のための意識を醸成することが主眼となります。またこの段階では中心となって5Sを主管するメンバーを社員の中から選任します。2、「仕組みづくり」。すなわち、「どこを」「誰が」5Sするのかを明確にします。次にその組織で「どのように」5Sするか基準を作り、「いつまでに」の計画を職場ごとに作成し、全てを成文化します。3、「実行管理」。5S活動が正しいやり方で計画通りに進行しているかをレビューし、全社的な進展を図ります。このため、効果的にチェックできるチェックリストを作ったり、毎月の進捗度を定期的にレビューする「月例5S推進会議」などを設け、努力が認められる職場を表彰するなど刺激効果を取り入れたりします。

加藤 奏治(練馬支部)
(有)加藤改善相談室・中小企業診断士
TEL03-3925-6811 FAX03-3925-6766
so-kato@msj.biglobe.ne.jp
http://www5f.biglobe.ne.jp/~souji

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