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経営者Q&A

使いにくい賃金体系を変えたい(2004年8月)

Q

15年ほど前にけっこう大金を払ってある大手のコンサルタントに依頼し、賃金体系をつくったのですが、どうしても「宝のもちぐされ」みたいでうまく使えません。

A

15年前というと「職務分析(仕事調べ)」、「人事考課」、「能力給」などが花ざかりでしたね。お宅の賃金体系もごりっぱすぎて身の丈に合っていなかったんじゃありませんか? どれ、ちょっと拝見。……ウーン。これは使いにくそう。たとえば人事考課の項目に「情意考課」の要素がずいぶんはいり込んでいますねえ。

Q

情意考課といいますと?

A

たとえば責任感とか積極性があるか、同僚や上司との協調性があるか、規律性(ダラケていないか)に始まって、極端なばあいには従業員の性格にまでランクをつけようというものです。これでは上司も社長も評価表にどう書きこむか悩むのではありませんか?

Q

そうなんですよ。毎年の賃金改定期になると社員の性格や人間性まで評価するような羽目におちいり、どうにもやりにくくって。

A

情意考課は評価する側の主観や好き嫌いがはいり込みやすいし、評価者(上司など)の訓練もむずかしい。また評価される側への説明にも苦労するし、納得が得られにくい。結果として双方感情的になってしまいがちですね。

Q

いちいち思いあたりますね。どうすればいいでしょうか。

A

賃金体系は労使双方にとって納得できる基礎の上に、できるだけシンプルな形でつくられることが望ましいのです。とりあえず人事考課表の項目からできるかぎり情意考課的な要素をとり去り、業績(何も売上や製造量だけにかぎりません。総務には総務の業績があります)面の評価を中心にし、それに仕事能力を補足的に加える方法の検討から始めてはどうでしょう。

Q

具体的にはどうするのですか?

A

ケースによって違いますが、私のメソッドでは、まず対象を一般社員、課長、部長といったように分類し、それぞれの評価項目を「業績評価」「仕事能力評価」とします。業績評価の内容は、一般社員を例にとりますと「自己啓発力」「仕事の能率」「目標達成度」です。課長のばあいは、指導・育成とか提案力などが加わります。 これに仕事能力(一般社員では理解力、処理能力、仕事の知識、コミュニケーション力など)を補足し、項目ごとにウェイトに差をつけ、5段階評価で加点していきます。つまり情意考課といったあいまいなものをやめて、業績評価、仕事能力の評価を基礎にするわけですね。こうして(1)賃金は仕事の成果(目標の達成)に対する報酬配分ととらえる(2)少なくとも同業他社の水準へ(3)年功賃金の長所をとり入れ仕事給と調和させることが可能になります。
賃金管理のポイントは社員を「やる気」にさせることです。へたに形をととのえることより、労働分配率に気を配り、「どうしたら社員のやる気を引き出せるか」の原点に立ち返って大胆に改革にチャレンジしましょう。

藤原 弘(千代田支部)
藤原事務所
TEL.0467-22-7255

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