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経営者Q&A

中小企業の系統的な後継者養成(2004年5月)

Q

金属製の自動車部品の製造下請けを行っています。5-10年先には息子に経営をまかそうと思っていますが、中小企業のことで系統的あるいは体系的に「後継者養成」ができません。何か良い方法があったら教えてください。

A

経営全般について体系的に学ぶには、「中小企業診断士講座」を受講させるのがよいでしょう。数年前に制度改正があり、中小企業版MBAを育成しようという意図のもとに大幅なカリキュラムの見直しが行われました。1次試験に合格することを目標とすれば、気軽に挑戦できるでしょう。難点は1年間にわたり土、日をつぶすくらいの勉強時間を確保する必要があることです。もうひとつの難点は、後継者個人の育成にしか役立たないことです。
後継者と同年代の従業員を含めて学ばせることができれば、会社の将来のためにもなるでしょう。「そんなうまい方法があるわけないだろう」と思われるかも知れませんが、実はそれがあるのです。
東京中小企業家同友会では、かねてから「経営指針づくり」の啓蒙を行っていますが、経営指針をどのように具体化するかの方法論が分からないために、多くの企業ではその段階にとどまり、企業の業績を向上させるまでに至っていないのではないでしょうか?
この方法論を要求事項という形でまとめたものが、品質ISO(ISO9001)なのです。
企業の経営管理システムの中に品質ISOを組み込むことによって、格段に経営の質や業務の質が向上し、製品やサービスの質も向上します。ただし、条件があります。経営者が率先して取り組み、品質ISOのエキスを十分に吸収することです。
品質ISOはあくまでも道具ですから、使い手の力量により役に立ったり、立たなかったりするのです。この点を十分に理解してください。
そして、後継者に会社全体のことを学ばせながら、以下の表に示すような仕事をさせれば、その過程そのものがOJTによる後継者教育となります。

ステップ

  1. 管理責任者に任命する
    ISOの導入プロセスがそのまま後継者育成プログラムとなる
  2. ISO導入プロジェクトを主催する
    プロジェクトの会合でリーダーシップを発揮してもらう
  3. 品質管理の基礎を自己啓発で修得させる
    品質管理は現場だけでなく、会社のあらゆる業務に使える
  4. 各種文書の作成を主導してもらう
    (1)文書作成の要領をつかんでもらう
    (2)業務マニュアル作成を通して、会社の業務をつかんでもらう
  5. 各種文書の作成を主導してもらう
    不適合の原因追及方法、問題解決手法、再発防止対策や予防対策など
  6. 会社のバランスを考えられるようになってもらう
    部分最適でなく全体最適を志向するように心がける

注)本稿では品質ISO(ISO9001)の詳細説明を割愛しています

石川昌平(足立支部)
(有)マネージメントサービス
TEL.03-3881-3348

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