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経営者Q&A

デフレ不況の中での収益アップは(2003年10月)

Q

デフレ不況が長期化するなかで経営目標を達成するのが年々困難になっています。

A

経営目標とは具体的にどのような目標ですか。

Q

売上高と営業利益が中心です。とくに売上高は、前年比5%アップ、悪くても前年水準維持を目標にしています。

A

デフレの原因はいろいろありますが、実態としては市場や社会が成熟して売り手よりも買い手の力が強い状態です。売上高に重点を置いた目標とは、どちらかというと市場や社会が拡大・成長しているときに有効性を発揮する目標ですから、各企業の意欲的な活動を推進するうえで大切な目標ではありますが、それだけでは今日の時代に対応し切れません。売上高のような絶対額重視から、利益率を重視する方向へ、企業の側も対応していく必要があると思います。たとえば同じ年商10億円でも、粗利率が0.5%違えば売上総利益は5000万円の差となってあらわれます。そしてそのためには原価管理なども当然必要となってきますから、意欲とともに緻密さが求められる時代といってもよいでしょう。

Q

そうすると、営業の仕方も従来のやり方から、変えなければならないということですか?

A

そうですね。たとえば、営業活動を大きく分けると、新規開拓と顧客維持の2つの活動がありますが、成熟市場のもとでは、顧客維持活動がますます重要になっています。「新規開拓は顧客維持よりも5倍のエネルギーを必要とする」という研究結果も報告されていますが、今日ではもっとこの差は広がっているかもしれません。それだけに、一度獲得した顧客と末永く良好な関係を維持していくために、企業全体の知恵と力を結集していくことが大切です。
従来は、「これが当社のやり方」とか「どの顧客にも当社流の付き合い方で」というのが当たり前で、「力のある」企業ほどこうした傾向がありました。しかし「顧客」といっても千差万別です。古くからの気心の知れた「顧客」もあれば、偶然のきっかけで最近取引の始まった「顧客」もいます。そこで、顧客と自社との関係の度合いを一つひとつリアルにつかみ、それぞれの到達点に見合った付き合い方をしようという「顧客関係管理」(CRM)という考え方が重視されるようになってきました。
まだ関係の浅い「顧客」といかに親密な関係になるかは、企業の将来を左右するテーマです。そして、このように一つひとつの顧客との関係をリアルにつかむことこそ、「顧客満足」の向上を図る前提であり、それは顧客あたりの単価を向上させる前提にもなります。

金井 育生(新宿支部)
K&K経営労務コンサルティング
k-k.keieiromu@abelia.ocn.ne.jp
TEL/FAX:03-3989-8188

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