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経営者Q&A

投資や新規プロジェクトの実行判断(2024年5月)

Q

投資や新規プロジェクトで実行すべきか経営判断に困ります。どのように判断すればよいのでしょうか。

A

昨今のニュースでは生産性向上を前提とした賃上げ、原材料の高騰といった話題にあふれています。また今後、金利も上昇する報道もあります。
補助金等を利用した設備投資や新規プロジェクトに着手するなど、ポストコロナに向けた準備・投資を始める会社が増えてきました。これらの投資が、会社にとって有益なものになるか、判断することになります。
中小企業の場合、投資しないと事業を継続できないといった消極的な理由や、社長の感覚を理由に決定をしていることがあります。無論、その感覚が当たっていることも多いのですが、客観的な評価方法もありますので紹介します。
代表的な投資評価方法には、割引現在価値法と回収期間法です。これらの評価方法は、金融機関への返済計画や借入交渉でも使える指標なので、知っておくとよいと思います。
まず、割引現在価値とは、将来得られる価値を現在に受け取るとしたら、どの程度の価値になるかを計算したものになります。投資回収までの期間において将来のリターン(利益やキャッシュ)を割引率で現在価値に引き直し、投資額と比べ黒字額あるいは黒字額が大きいものを評価します。
回収期間に関わるリターンを現在価値には割引率を用います。割引率とは、割引現在価値を算出するにあたり、将来受け取る金銭を現在価値に割引く金額を年換算した割合です。割引率は長期借入金利や期待収益率で設定します。リスクが上がる場合、割引率も上昇し、より慎重な判断をすることになります。
※キャッシュフロー 事業運営で必要なお金の流れを指します。キャッシュフロー計算書で算出すべきですが、投資判断は簡便で迅速な情報が欲しいです。簡単な方法では、営業利益+ 減価償却費-支払利息で、投資すべきかおおよその判断はできると思います。
回収期間法は投資金額を何年で回収できるかを算出し、その期間が短ければ投資を実行するという投資評価方法です。計算式は投資額と獲得するキャッシュとの比較で計算式としては算出しやすい特徴があります。時間的な価値は考慮できませんが、計算式が簡便という長所があります。
投資評価方法として両方に共通点として、将来獲得する利益やキャッシュについて補足をいたします。将来の利益はどうしても見込み額になりますが、実現性のある数字で算出する必要があります。一例として、付き合いのある顧客や購入予定者に新事業をいくらで購入する必要があるかなどヒアリングをして、ご自身の感覚とすり合わせることが、金銭的な負担も少なく客観的な見込み額だと思います。

原 知世(豊島支部)
はら中小企業診断士事務所
中小企業診断士事務所
TEL :080-3415-0217
HP:http://hara-smeca.jp
e-mail:tomotsugu.hara@gmail.com

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