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中小企業家群像

「経営理念を社員と実現するために、行動指針で共に育つ社員を育成」
株式会社日本工業社代表取締役 米田 和秀氏(千代田区 資本金1000万円 社員42名)

≪定期採用と人を育てる社内の文化≫
大手企業内でのオンサイトアウトソーシングを中心に、複合機関連サービス事業を展開。人材が定着しないことの悩み 新卒は過去に採用したことがありますが、現場に教育力がなく、定着に問題がありました。その後、即戦力を目的とした中途採用にし、必要に応じて外部の研修を利用していました。

しかし、外部の研修に出ても、現場ですぐに使えるものとは限らず、うまく効果が上がらないということを繰り返していました。

また中途採用の場合、同社の経営理念が浸透しにくいということもありました。経営理念を理解し、それに基づいて行動できる人材をどうしたら育成できるか悩み、再び新卒採用に転換。「新卒採用を毎年行うことで、後輩に教え、自分も成長していく企業の文化ができる。時間はかかるし面倒かもしれないが、それを面倒だと避ける職場に問題がある」と米田氏は考えました。

≪2泊3日の新入社員研修から≫
人間教育を支える、行動指針「HERO’S」昨年、米田氏は東京同友会主催の2泊3日の新入社員研修に運営委員として参加しました。研修のグループ討論で、助言者として他社の新入社員の話や悩みを聞く中で、「若者に共通していたのは、知識偏重主義の影響なのか、他人を見た目で判断し、人間関係が広がらないし恐れている」と感じ、「仕事の知識や技術だけでなく人間教育が必要」と気付きます。

そして、社員の行動指針「HERO’S」(H:Harmony協調性ある行動、E:Energy満ち溢(あふ)れるエネルギー、R:Reality現実を見極める眼、O:Originality個性豊かな人間性、S:Step by step一歩一歩、着実な成長を…)を打ち出しました。

その後、これをもとに、「JII HERO’S研修」を立ち上げます。これは社長自らが「人生とは何か」、「仕事とは何か」を伝えていこうというもので、毎週金曜日にテキストに沿って、新人によるグループ討議を中心に行っています。ここでは、テーマにもとづき自分たちの体験を含め議論し、それをどう生かしていくかを学びます。人生や生き方をどうとらえるかを考える場となり、それが結果的に仕事に対する姿勢の変化につながっています。

「今は全般的に人間関係がドライ。仕事の知識やスキルを上げる教育だけでなく、人間教育も会社を伸ばすためには必要」と米田氏。多彩な教育メニュー同社の教育メニューは多彩です。新卒社員向け、中途入社向け、1年以上の社歴を持つ一般社員向け、管理職向けなど、「対象者ごと」と「共通メニュー」をそろえています。「共通メニュー」はビジネスマナー、パソコン操作の基本、デジタル印刷など5つのカテゴリーに分けられています。昨年、教育制度を見直し、従来のOJT、OFF―JTのほか、通信教育、eラーニングなど、教育全般にツールやメニューを増やしました。新入社員は同友会の新入社員研修を基本研修としてスタートし、1年間の計画が組まれています。

ただ、昨年はこうしたメニューが50にも及び、社員にとって仕事をこなす中で負担となる面もあり、後半からは、顧客の工場見学やゲーム形式など、リラックスして学べるメニューも加えました。

≪共に育つ社風≫
芽生えた共に育つ社風「共通メニュー」のビジネスマナーでは、東京同友会のビジネスマナーインストラクター養成講座を卒業した社員が講師を務め、現在4名に増えました。その1人、岡田優子さんは、「新入社員が入ることで、社内が非常に活性化しています。自分の仕事を知らない人に分かりやすく知らせることは難しいですが、そのことで、自分自身の仕事が改めてよく分かります。

新入社員と共に育ち合っていくことの大切さを実感しています」と話します。新たな経営理念とともに今年4月には、新しい経営理念「『TIME』確かな技術とサービスでお客様に価値ある時間を提供し続けます」を発表しました。

社員に発表する前に、先行して合同企業説明会のブースで提示したところ、ある学生から「『価値ある時間』という言葉がかっこいい」という反応がかえってきました。今年、その学生が同社に入社しました。経営理念を共に実現していく、「共に育つ」社員の育成が現在進行中です。(2008年中小企業家しんぶん5月15日号)

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