タイトルアイコン

中小企業家群像

クローバーからグローバルへ ~幸せの四つ葉を世界へ羽ばたかそう~
株式会社グローバルセンター 松永 裕之 氏(千代田支部)

株式会社グローバルセンター(千代田支部)
代表取締役
松永 裕之 氏
東京都目黒区南2 丁目14 番地14 号
設  立 1953 年
資 本 金  3000 万円
従業員数 65 名(グループ計)
業務内容 合カギ、錠前、自動扉、オートロック、防犯カメラ、リペア、靴修理、錠前工事、ネット販売

目黒通りとの交差点を環状七号線沿いに南下すると街路樹の緑の中に目立つ黄色い建物が見える。訪問先の株式会社グローバルセンター、松永裕之さん(千代田支部会員)の自社ビルである。

会社は創業者である父君松永誠太郎氏が、昭和21年に神田で自動車用部品の卸・小売業を開業し、昭和28年に㈱松永商会を登記する。誠太郎氏は全国自動車部品商組合連合会の理事長などを歴任された。

昭和30年には、現在の主力事業となる、キーマシンの輸入を始める。玄関ドアの鍵のスペアキーをつくる機械とコピー用の鍵を大型量販店に納入していった。バブル崩壊でスーパー不況が来た。このまま、取引先の店舗が減っていったら大変なことになると考え、関連会社㈱マネットを設立し「e-工房」という合カギ、靴修理などを行う小売店のチェーン展開を始めて現在首都圏に30店出店している。

裕之さんは昭和55年、33歳で代表取締役社長に就任する。裕之さんは誠太郎氏の男ばかり四人兄弟の長男。「大学までは皆だしてやる。その先の人生は自分でやれ」というのが父誠太郎氏の口グセだった。裕之さんは家業を継いだが、次男は商社マンになり海外勤務の後、独立し今も米国ヒューストンを中心に活動されている。三男は、ホテルマンになり静岡にいる。四男は、イタリアで生活している。誠太郎氏は天国でご自身の教育の成果を喜んでいることだろう。

同友会入会のきっかけは何かと尋ねた。社長になって「まず人が大切。若い人を入れていこう」と考えているところに、リクルートの神田営業所所長から「ミキハウスも夫婦二人でやっていた頃から採用を続け、あれだけ大きくなった」と言われ、昭和56年に120万円払って2名の大卒が採れた。しかし翌年は1人も採れなかった。丁度、テレビニュースで、東京同友会の合同企業説明会の様子が放映された。早速問い合わせたところ、事務局員が飛んで来てくれた。説明の最後に「求人は12月中に入会しないと、再来年になりますよ」との殺し文句。慌てて入会した。「優秀な営業マンですね」と笑う。「当時は井上弘さん、荒賀隆さんといった経営バリバリな方が活動されていましたね」と語る。30代なら青年経営者懇話会(青年部の前身)に入らなければと言われ「宇佐見弘さん、松本晋一郎さん達を見て、いい意味でショックを受けましたね」とも。

今は、事業協同組合の理事長として「401k」の加入推進を指揮している。「一般にこのシステムは、200万円程かかるが、同友会の事業協同組合だと、20万円で加入でき、会社側の社会保険料の減額メリットが受けられるのです。これは同友会にとっても大きな宣伝になると思いますよ」と丁寧に説明していただいた。

本年7月に㈱クローバーセンターから㈱グローバルセンターに社名を変更した。世界トップのイタリアの合鍵メーカーの日本正規代理店となりコンピューターキーマシンの販売を始めた。また、次の柱に据えるべくドア事業部(オートロックシステム、オートドア、防犯カメラ、販売施工)で鍵のないカギ!?部門を強化しさらに鍵のネット販売を「鍵倶楽部」の名称で運営を行っている。「鍵は財産を守るという観点から、所得のバロメーターひいては文化のバロメーターでもあると思います」と事業の深堀とその将来を考えている。

毎朝業務前に会社の周囲を社員皆で清掃している。
平成3年に営業本部を神田から移転したのがきっかけ。このことは新卒採用面接の時にも話しており、そういう社風になじめる人が入社しているとのこと。

同友会でお会いする松永さんは、いつも笑顔で優しい印象を受ける。そのことをお伝えすると「60歳を過ぎたら怒らないと決めました」と。「それは親兄弟、子ども達が仲良く安寧に生活できていること自体、大きな力に助けられています。それに対しての感謝の気持ちで毎日活動していますから」と柔和な眼差しで語る。お子さんは三人。長女はベルギーで医者、長男は公認会計士、次女は大手広告代理店勤務。皆さん結婚されて孫が六人、まもなく七人になるそうだ。「後継者は、社員の中からとも考えています。」と。常に穏やかな語り口で、紳士とはこういう人のことを言うのだと感じた取材となった。今後のグローバルな展開に期待したい。

戻るボタン
経営を磨きたい 経営の相談をしたい 交流したい 人を採用したい