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中小企業家群像

電子機器の誤動作を計測するノイズ試験器を開発する 国内唯一の専門メーカー
株式会社ノイズ研究所 藤垣 正純 氏(北支部)

株式会社ノイズ研究所(北支部)
取締役会長
藤垣 正純 氏
神奈川県相模原市中央区千代田1-4-4
創 業 1975 年3 月1 日
資本金 9500 万円
従業員 95 名
年 商 21 億円
事業内容 電子機器の開発・製造販売その他関連事業

日本を代表する研究開発型企業の一つだ。その技術力の高さにおいて、業界唯一の知名度において。

JR横浜線相模原駅からタクシーで10分の位置にその会社はある。城下町の地名を思わせる相模原市中央区千代田1-4-4四番地。

「隣地の200坪を買いました」。さりげなく藤垣さんは言う。現在の社屋は賃貸なのだ。近々社屋を拡張しようとしている。
ノイズに関する機器の開発・製造・販売と共に船橋で運営している受託試験サービスの提供もユーザーの役に立っている。社名のノイズ、微細な電気の変動のことだ。精
密な電子機械、医療機器、コンピュータを始め計測機器などは、例えば空調機器のオンオフ、自動車のエンジンからあるいは落雷などによって誤作動の原因になる。

創業は現NTT出身の創業社長が五人の仲間と設立した会社に一か月遅れで参加。二七歳の春である。それまで出版社で二年半、ライターをしていた。文系の出身なのだ。

突然前任社長が辞めて競合会社を作った為に、技術系の会社を文系の藤垣さんが後任社長として引き受ける。43歳の時だ。

創業以来、試験機の納入実績は東南アジア等も含め5000社以上となっている。

その大きな力となったのは「ノイズ・テクニカルレポート」と称する技術冊子をメーカーのエンジニアや研究者に発信し続けてきたことだ。

何より同社の立派な記念誌の執筆陣は高名な研究者の賛辞で満ちあふれている。

うらやましいような業績の一つに技術社員の石田さんが職務の積み重ねの資料と研究を基盤に工学博士の学位を取得したことだ。

東京同友会の会員企業のなかで博士号をもつ社員が在籍する会社は何社あるのだろう。私が入会間もない頃、三多摩支部長で電源装置の電設機器工業㈱の平松利平さんが博士論文を早稲田大学に提出して学位を得たと記憶している。その頃、同友会には立派な会員企業があると感動したものだ。

現在、年間売上二十一億円、社員九五名まで成長させた藤垣さんの笑顔が爽やかである。

同友会入会は当時北支部支部長、北部協議会議長を長く務められた渡辺剛博さんの推薦による。実は昨年の北部協議会総会の記念講演は藤垣さんだったのだ。

ひたすら会社の実力を蓄えてきた経営者の魅力は何処にあるのだろうか。順風満帆にみえて、それなりの苦労は、あったのだ。労使問題で一部社員との確執は全身全霊の努力を強いられた。この経験を経て会社は発展し今や世界を相手にする企業に成長した。有力な競争相手はEUに3社と中国企業だと。見すえる先は海外なのである。

社長の座を息子に譲って会長に就任してはや2年。一瞬たりとも気を抜けない先駆者の厳しい笑顔がそこにある。

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