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中小企業家群像

寿司屋から屋根屋へ 社の強みは「社員」そのもの!
有限会社エイセイ 武川 弘彰 氏(練馬支部)

有限会社エイセイ(練馬支部)
代表取締役
武川 弘彰 氏
【会社概要】
創 業 1999年
設 立 2004年
従業員数 10名
事業内容 建築板金工事、屋根工事、雨樋工事、サイディング工事、塗装工事、リフォーム
所在地 東京都練馬区東大泉2-20-5 グランデージA 棟 B1
www.eisei-es.com

練馬区大泉の東映東京撮影所近くに本社を構える㈲エイセイの武川さんを訪問した。大泉は武川さんが生まれ育った地である。「大泉学園から出たことはありません!」と地元愛溢れた笑顔で迎えてくれた。

武川さんは元々回転寿司で働いた寿司職人である。寮に住まわせてもらった義理もあって就職したが、店長の給料を聞いたら夢も希望も失った。子どもができたのをきっかけに、父に相談し、知り合いの屋根屋の社長を紹介してもらったのが今の仕事の始まりである。寿司屋の夜の仕事から朝の仕事へ。その会社には社員教育もなく、「仕事は見て覚えろ」の世界だったが、先輩がとてもよくしてくれた。2年後業界大手に転職したが、あれこれ命令されることが多く指示する側なりたいと思っていたところ、同じ職場にいた弟が喧嘩ばかりして居場所がなくなり、もう弟と一緒に会社を出るしかないと、27歳で独立した。

「当時の自分は一流の職人という自信はありませんでした」と振り返る。独立したもののお客さんがいない現状。もともと職人で営業経験なしで飛び込み営業を試みたが全部ダメだった。結局、地元の先輩が仕事を紹介してくれた。その仕事がきっかけで軌道に乗ることができた。

独立を決めて会社を辞める時に社長からいろいろ教わったことがある。「一社だけの仕事をしちゃダメだよ。その会社が倒れたら共倒れになってしまう。客先は広く薄くだよ」。その言葉を常に意識して取り組んできた。

創業3年目、リフォーム詐欺が世間で大ニュースになり、真面目に経営している会社も詐欺扱いをされ、現場が一気にストップした。社員も5人になってしまったことがとても辛かったという。武川さんが苦戦している時に材料屋の方が仕事を紹介してくれ助けてくれた。「最初は現金支払いでしたが、次第に信頼を得て掛で売ってくれるようになりました。私がいつも感謝の気持ちで接しているのを見て育ててくれたと思います」。

社員も増えていったが、30代は社員が定着せず悩んでいた。40代になったのをきっかけに経営の勉強をしたいと思った。

同友会の入会のきっかけは、焼き鳥屋のゴルフコンペで練馬支部の笠原康博さん(㈱笠原商店)に出会ったこと。「悩みあるの?」尋ねられて「いっぱいあります」と答えたら「全部悩みが解消するよ」と同友会を紹介された。例会に参加するとグループ討論や懇親会の会話が面白い。「すごい!入会するとこういう人たちになれるのか」と思って入会した。

1年後、経営指針成文化セミナーに参加した。「今までの自分は経営者としてなってない」という反省。当時は社員に対する姿勢や社員と折り合いの悪い弟の問題等を抱えていた。社員に対する考え方や弟への向き合い方の甘さも正面から指摘された。まずは「お互いわかりあうところ」からすべて始まり、社会や仲間に「喜ばれる」ことが大切だと思った。

受講中、弟には会社を変えると覚悟を持って辞めてもらった。幸いなことに独立を許してくれた前社の社長が雇ってくれた。

組織経営を目指して規模は創業時の3倍に、右腕になる人材の育成や職能も職人、準職人、見習いなど整備していった。ベトナム人も採用しているが、若手もベテランも彼に教える中で社内の「わかりあう」を促進している実感がある。専務が大事故に遭い、現場に行けなくなったが、若手が決起大会を開いて現場をささえてくれた。良い変化を実感している。

会社の強みは「エイセイに頼めば最後まで安心」と言ってもらえること。「社員が会社の強みです」と満面の笑顔。将来の夢はもっと組織化を進めて、社員一人ひとりの夢が叶うプラットフォームになれる会社を目指している。「うちの仕事に危険はつきものです。たとえ現場に出られなくなっても、飲食業や他の事業で仕事ができるような事業展開も考えています」と力強い。

練馬支部の支部長として活躍中。支部の活性化については「私は細かいこと言わないと決めて、幹事の皆さんに助けてもらっています。やるのは決めることだけです。今期の総会議案書もすごいものをつくってくれました」と語る。

どんな嵐が来ようとも、しっかりと家を支える屋根が武川さんだと感じた。

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