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中小企業家群像

ひとの悩みは変わらない。 じっくり一緒に考えられる場所でありたい。
磯田 直道 氏

磯田総合法律事務所
磯田 直道 氏(杉並支部)

【会社概要】
住 所 東京都港区西新橋2-15-17
レインボービル9階
創 業 2011年
事業概要 弁護士業務(介護施設等の法律顧問、労働問題その他法律相談等)
従業員 1名
U R L https://www.law-isoda.com/

法律事務所には置かれていることの多い偶像がある。それは古代ギリシャの女神テミスだ。テミスは正義の女神とも呼ばれ、秩序をつかさどる。ぱっと目につくのは片手に天秤を掲げていること。ご存じの通り、弁護士バッジの一部には天秤があしらわれており、公正と平等を意味する。さらにテミスを眺めると、もう片方の手には剣を携え、また顔には目隠しがなされている。これを磯田直道氏(弁護士)に伺うと、すっとこのように応えてくれた。「剣は正義を表し、目隠しがされているのは公平に物事を観る、という意味だったと思います」。テンポの自然さにこちらも興味が湧いてきてしまい、続けて質問。その像をよくみると足元に蛇がおり、それをテミスが踏み押さえており、かつテミス自身は書物の上に立っている。これを伺った。「う~ん、蛇は一般的に邪悪の象徴ですね。そして、書物はちょっとわからないですねぇ。えぇえぇ」と磯田氏。
ここで訪問前に拝見した磯田総合法律事務所のHP キャッチフレーズが頭をよぎった。「あなたの正義に真っ直ぐな道を。」だ。磯田氏の名前(直道)にも掛けたものであろうが、普段、東京同友会の運営全般で雑談含めてお話をする際の磯田氏もこのままのお人柄なのだ。その“真っ直ぐ”には核があり、ここぞというときの爆発力をも備える。一方で、もうひとつの“真っ直ぐ”さも磯田氏からは感じる。それは、ひとが好きだ、ということであろう。それゆえ、インタビュー冒頭のスムーズさは、なにも見知った会員同士の会話だからではなく、磯田氏が日々心がけ、育まれた在り方の表れに違いない。
磯田氏の出身は熊本市。父君は果樹試験場の県職員であった。「家ではザボンの砂糖漬けなどをよく食べましたね。美味しかったです」と微笑む。そして法律家を目指すにいたったきっかけは父君のふとしたひと言であった。「私が中学生のときです。父は農学部出身だったゆえでしょうが、弁護士はいいぞ、日本は法治国家だからな。サムライと同じだ、と」。そこから磯田氏は法曹界を目指し、まさしく道へと足を踏み入れる。
初めて司法試験を受けたのは大学を卒業後。いくどか挑戦を続けるも、結実までには至れない。そして、ひと区切りをつけようと、別の道として国家公務員試験第一種に向け、一カ月間猛勉強。試験での実りはあったものの、その後のコネクションづくり(官庁訪問など)に間に合わせることができなかった。一般的には官庁訪問と試験準備と並行して行われるものだったのだ。「裁判所書記官、中央公務員なども考えましたが、ふと地元に戻りたくなりました」と手元を見つめる磯田氏。そして地元、熊本県庁に勤務することなった。しかし、ここでの生活も磯田氏にとっては満たされるものとは言い難かった。職場の上司がマニュアル優先主義で、新人の磯田氏が疑問に思うことを、“ひとを通して相談する”ことができなかったのだ。並行して、司法試験は受け続けており、ロースクール制度が創設されたことを機に退職。東京へと再び挑戦の場を移すことになった。ロースクールでの1年目は報道番組にも出演している実務家とつながりができて楽しかったと語る磯田氏。しかし、試験そのものは別。スクール2年目、磯田氏は新制度の試験に落ちてしまう。「結果が来る前に、なんとなく感じていまして、新宿の占い師にきいてみたら、落ちていると言われました」。
「それで次年度は、我を忘れて勉強に集中しました。もちろん、それまでもちゃんとやってたんですが…」。しかし、受験最後となった一年間は、通信講座のペン字講座も受講。筆記論文試験で、少しでも採点者が読みやすい字を心がけようと思ったゆえだ。
2008 年、在日韓国人の弁護士が営む法律事務所へ入所。その事務所自体も初めて人を雇い入れた状況であった。きっかけは、磯田氏が学生時代から学んでいた韓国語である。「学生時代に古本屋にいったら韓国語の学習書を手ごろに入手できたんです。日韓サッカー前、韓流ブームの前だったと思います。実は熊本県庁時代も職員研修制度を利用したり、韓国人が経営する韓国語教室に通うなど学び続けていたんです」と照れ笑い。そこで3年間の在籍後、磯田氏はロースクール時代の友人との共同を経て、2011 年、ビジネスパートナーとの縁で現事務所の開設となった。同年は別の士業交流会で杉並支部会員と出会い、東京同友会へ入会。それ以降、数年は青年部に在籍。現在は杉並支部長を務める。
「事務所の今後は、私が新人の頃にお世話になった先生のように、若手を育てることを目指したい。一方で生成AI などの技術進展もどうなっていくか」。「ただ、相談者の悩みは変わらないと思います。慌てずに平静心を保つことが重要ですが、それは簡単なことではありません。そんなとき一緒にじっくり考えられる法律事務所でありたいです」とまっすぐな目線をくれた。
磯田氏は学んだ韓国語を軸に、韓国商工会での交流を深めるほか、外国人が多く在籍する地域交流会にも参加。そう、ひとが好きなのだ。

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