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経営者Q&A

目標の達成に応じ、昇給させたい(2025年5月)

Q

社員10数名の会社です。賞与とは別に、年齢や経験だけでなく、各人の目標達成度合で基本給を増やす仕組みを考えています。どんな点に留意すればよいでしょうか。

A

給与体系が、基本給+ 諸手当として、お話します。現在の諸手当を整理あるいは増額し基本給を底上げします。今後の採用を考えれば、概ね20歳前後から50代半ばまで基本給の1歳当たりの傾き(差額) がある程度必要です。その場合は多少原資がかかります。
一般に、小人数の会社では、基本給を年齢、勤続、経験、能力、技術等で総合勘案し、社長が柔軟に決定しています。
他方、基本給をわかりやすく、年齢給として策定することがあります。年齢や勤続とともに知識、技能、職務遂行能力が高まるので、公務員の昇給等に見られます。ただ、個人差や業務の内容により違いがあり、意欲やスキルのある若者にとって、年齢給は年功序列体系で魅力がありません。
そこで、基本給を年齢給と能力給(知識、技術や職務遂行能力) に分ける併存給方式があります。ご質問に適した制度です。社長は、仕事のできる人には働き度合に応じ支給し、最小限の生計費は社員に保障したいからです。原資の配分は、当初は極端な能力主義をとらず、年齢6、能力4の割合程度で設計しましょう。年齢給は、刻みが緩やかな簡易な年齢給表にします。何歳になれば、年齢給〇〇円と予測可能だからです。入口の学卒年齢では高く、40後半から50代に頭打ちを作ることも考慮し、年齢が高まるほど年齢給の昇給幅は小さく設計します。他方、能力給は、底上げした基本給から年齢給を控除した差額になります。年齢が高まるほど能力給の割合は高く、柔軟にバランスよく昇給ができるように、能力給表の策定はお薦めしません。こうして昇給前に、各人の基本給額を年齢と能力の二つで確定します。
能力給の昇給額が目標達成に応じた成果です。ポイントは、会社が毎年各人への仕事の目標( 期待) を文章で明示し、面談。会社が期待することや今年の目標を共有することが重要です。当面、評価者は社長にしましょう。習熟すれば直属上司が担当。社員数が少ないうちは、3段階程度の評価とし、昇給額に差を設けます。若年でも目標達成の度合いが高ければ昇給が増えるよう工夫。例えば20代なら1,000円から5,000円、40代なら2,000円から8,000円等のように昇給額の範囲を設定。こうして、年齢給の昇給と併せ、平均的相場の昇給額になるよう組み立てることができます。

石田 仁(豊島支部)
協同組合ディーデイーケー
経営労務コンサルタント・社会保険労務士
電話:03-3980-8298
fax:03-3980-8380
HP:http:/www.ddk.or.jp
e-mail:ishida@ddk.or.jp

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