コロナ融資返済お悩み相談 (2025年8月)
コロナ融資の返済が始まり、資金繰りに不安を感じています。まず、何をすればよい ですか?
まずは一人で悩まず、所属する支部の仲間や役員にご相談ください。同友会には、同じ課題を乗り越えてきた仲間がいます。その上で、東京都中小企業振興公社の「ワンストップ総合相談窓口」(電話03-3251-7881)など、専門家に無料で相談できる公的機関の活用も有効です。仲間や専門家との対話で方針を固めてから、取引金融機関へ相談を進めるのが良いでしょう。
資金繰りを改善する具体的な選択肢には、どのようなものがありますか?
大きな選択肢として「借換(かりかえ)」と「リスケジュール(リスケ)」の二つがあります。
どちらを選ぶかは、将来の経営方針に大きく影響するため、自社の財務状況を踏まえた慎重な判断が求められます。
「借換」と「リスケ」の違いと、判断する上でのポイントを教えてください。
「借換」は前向きな改善策、「リスケ」は緊急時の最終手段とご理解ください。
「借換」は、より有利な条件の借入契約に乗り換えることです。メリットは、月々の返済額の圧縮、金利低下、追加融資の可能性がある点です。デメリットは、新規の借入となるため審査に手間がかかる点です。
一方「リスケ」は、金融機関に返済ペースを一時的に落としてもらうことです。足元の資金繰りが楽になるのがメリットですが、最大のデメリットは、金融機関からの信用が著しく低下し、その後の新規借入がほぼ不可能になることです。これは問題の先送りに過ぎません。
判断のポイントは、経営指針に立ち返ることです。経営改善計画を伴う「借換」は、事業を再成長させる好機と捉えることができます。
前向きな選択肢である「借換」を検討したいのですが、使える公的支援はありますか?
はい、活用すべき支援制度が複数あります。
まず、最も有利な場合が多いのが、事業所所在地の「区市町村独自の借換融資制度」です。
次に、国の「経営改善サポート保証制度」を活用すれば、長期返済で月々の負担を減らせます。
さらに「日本政策金融公庫」も借換相談に応じています。これらの制度について、取引金融機関に相談してみてください。
なぜ、資金繰りが厳しくなる「前」の、早めの相談が重要なのでしょうか?
それは、早期に相談するほど「取れる選択肢の数」が全く違うからです。返済が滞る前に相談すれば、金融機関との信頼関係を保ったまま、より有利な条件での「借換」などを落ち着いて検討できます。しかし、事態が悪化してからでは選択肢が限定され、経営の立て直しが非常に困難になります。一人で抱え込まず、同友会の仲間と共にこの難局を乗り越えていきましょう。
斎藤 秀樹(台東支部)
㈱ウィステリアコンパス
代表取締役
公認会計士・税理士
TEL :028-612-1362
E-Mail:saito@wisteria-net.co.jp
事業内容:働き手の幸せを追求する経営財務助言者集団